【8/4日本市場の確認ポイント】
日経平均 27932.20(+0.69%)[27,870~28,005]
TOPIX 1930.73(▲0.00%)[1,927~1,938]
マザーズ 736.02(+1.68%)[730~736]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+2.29%)
2.非鉄金属(+1.61%)
3.医薬品(+1.27%)
4.サービス(+0.98%)
5.ガラス・土石(+0.88%)
値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲4.01%)
2.石油・石炭(▲2.41%)
3.保険(▲2.00%)
4.農林・水産(▲1.99%)
5.その他金融(▲1.83%)
8/4の日本市場は海外市場の堅調な動きをうけて再び日経28,000円へトライ、明らかに上値抵抗として意識されながらも、7/22以降で10営業日に亘り節目の攻防を繰り広げています。以前の3月・6月と同水準で攻防した際には、あっさりと打ち返されていたところと比べますと今回はかなり粘っていると言えるでしょう。
米ナスダックの底堅さを引き継いでグロース株が全体を引っ張り、この日も半導体株の東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)のほか、ファーストリテイリング(9983)、ソフトバンクG(9984)、TDK(6762)などが日経平均を押し上げました。一方では、ザラ場中に決算を発表したトヨタ(7203)が大きく下落、OPEC+会合を通過して原油価格が急落したことでエネルギー株なども大幅安となりました。相対的にバリュー<グロースの好地合いながら、海運株などは戻り高値を更新してみせました。
グロース優位の展開から最も目を引くのは新興・小型株のマザーズで、6月安値からの指数上昇率は2割を超えて戻りを試す動きが継続しています。また、6月に大型IPOを果たしたM&A総合研究所(9552)が決算発表後の急伸からさらに上値を伸ばしているほか、直近IPO株のHOUSEI(5035)も昨日ストップ高まで買われました。UNERRY(5034)も足元の下値テストから大きく反発をみせ、全体の上値の重さとはまるで無縁であるかのようにリスク選好の動きを象徴しています。
【米国株概況】
米雇用統計前に様子見姿勢強まる中、リスク指標は弱気脱出でハイテクグロース株が堅調
NYダウ 32726.82(▲0.26%)[32,652~32,829]
S&P500 4151.94(▲0.08%)[4,135~4,161]
NASDAQ 12720.58(+0.41%)[12,600~12,736]
ダウ輸送株 14478.7(+0.36%)[14,407~14,528]
半導体SOX 3081.4(+0.91%)[3,038~3,087]
日経平均先物(CME) 27,870(▲0.29%)[27,815~28,070]
ドル/円 132.77~134.40
米10年債利回り 2.694%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 87.87(高値123.68:6/14、安値87.81:8/4)【安値更新】
金先物 1806.90(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.4755(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)21.44(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 47(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)78.44(安値72.92:6/13)
8/4の米国市場は高安まちまちながら、ナスダックが7連続陽線を交えた変則5連騰の堅調ぶりを発揮。6月高値付近でもたついているNYダウとは対照的にアマゾンやアップルなどに引っ張られ、ハイテク株主導で戻りを強めています。
足元で米民主党のペロシ下院議長による訪台の影響で米中間の地政学的緊張の高まりなどもありながら、金融市場では米景気や米FRBの金融政策見通しへの関心が高く、米経済指標をにらみながら債券の金利動向を注目しています。
債券市場では引き続き長短金利の逆イールド現象が続く中、米金融政策では早期の利下げ転換の観測から株価だけは期待先行で上昇する構図となっており、リスク指標はVIX指数の低下、F&G指数はとうとう「中立」レベルまで回復、ハイ・イールド債も戻り高値を更新しています。
これらの定点観測からは、市場がこれまで神経質になってきた数々のリスク(インフレ、景気後退、地政学)はすでに織り込み完了との認識を強めるものに思えるかもしれません。しかし、原油市場が昨日に3/15以来、約5カ月ぶりの安値更新の動きを示したことから投機マネーの市場流出を示しています。
上述したようなグロース株主導の相場は金融緩和環境でその真価を発揮するもので、これを支えているのは以前にもここで指摘したように米FRBのQT政策(量的緩和縮小)が一旦打ち止めになっているからで、それは危機感の裏返しでもあります。インフレにしても景気後退懸念にしても問題の根本が解決していない以上、実体を伴わない株高演出とみなす必要があるでしょう。もし金融当局が実際には隠れQE(量的緩和)を行っていることを正当化し、今後継続の意思を見せるならば株高環境はまだ続くと言えるでしょう。その代わり、世界的なインフレはさらに深刻な事態を招くことになります。
【日本株投資戦略】
日本株の戻り天井をつけるタイミング見極め、為替相場の乱高下に注目
インフレのピークアウト観測や金融引き締めペース緩和の期待で反転した株式市場ですが、昨日は英中銀が0.5%の大幅利上げに踏み切ったことで、金融当局は足元の市場期待とは全く逆の見方をしていることが示されました。市場反応としては何ら意に介さずといった様子ですが、大事な局面での英中銀の判断というのは普段以上の重みを持っていることを知っておかなければなりません。
上述したように投資家の楽観的な姿勢はリスク指標の著しい低下からも見てとれますので、日本株においても現在進行中の決算発表シーズンが佳境を迎えている中でも、比較的リスクを取って決算プレイを満喫しやすい環境になると言えます。
実際に決算内容が市場予想を上回り4-6月期をウクライナ危機やサプライチェーン混乱の影響がある中でも利益を確保した企業が多かったようにみられますが、この期間の為替相場がドル高円安に大きく振れていたことによる恩恵で、実際よりも下駄を履いている状態というのは以前も指摘したとおりです。
足元の株高への影響としては市場の需給要因による部分が大きいことも述べてきたとおりですが、この点に関してはそろそろ賞味期限切れとなる兆候も出始めています。市場の商い自体はそれなりの水準で投資家の夏休みが意識されるこの時期としては十分ですが、プログラム売買の裁定買い残は減少しているほか、為替も以前とは異なり一方向的に円安展開というのは落ち着いて、むしろ円高傾向を強めています。
市場のリスク認識が低くなっている現状は、投資家が楽観的で上値期待が大きくなっている一方、急激な変動に対する準備を怠っているということも同時に表しています。この状態でひとたびリスクが炸裂した場合には、パニック的な売りを誘発してリスク指標が一気に跳ね上がることとなります。投資を始めてまだ間もない方であれば、この週末から来週にかけてのところで一旦利益確定を行い、次の買い場探しに照準を定めていくのが得策と言えるでしょう。
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