【7/29日本市場の確認ポイント】
日経平均 27801.64(▲0.05%)[27,725~28,001]
TOPIX 1940.31(▲0.44%)[1,935~1,952]
マザーズ 718.55(+1.35%)[713~724]
値上がりセクターTOP5
1.サービス(+1.41%)
2.空運(+1.13%)
3.陸運(+0.70%)
4.海運(+0.59%)
5.鉱業(+0.48%)
値下がりセクターTOP5
1.医薬品(▲1.97%)
2.精密機器(▲0.96%)
3.情報・通信(▲0.95%)
4.保険(▲0.95%)
5.繊維(▲0.89%)
7/29の日本市場は、米FOMC大幅利上げを決定した後も米長期金利が低下する中、景気後退を意識しながらも日経平均は28,000円付近の上値を試す動きが継続。企業決算を材料に動意する銘柄が多数見受けられた一方、為替相場がドル安円高方向に振れてきたことにより外需銘柄で売りに押される銘柄も散見される展開。
好決算のエムスリー(2413)やアドバンテスト(6857)が大幅高、米長期金利低下を背景に非製造業系のグロース株が強含む動きを見せる一方、為替円高だけでなく業績下方修正を迫られたデンソー(6902)から連想売りが波及した自動車関連株が軒並み下落。大規模通信障害の悪材料から上値が重くなっていたKDDI(9433)も決算まで何とか高値圏を推移してきたものの、いざ直前になると大きく売られるなど、個別銘柄ごとの選別色が強まってきました。
日経平均などの指数は強弱銘柄の入り交じりでもみ合い、グロース株選好地合いと景気や為替の影響を比較的受けにくい新興株は、資金流入が継続してマザーズは4月下旬以来の戻り高値をつけました。企業決算が本格化し、市場物色は個別重視の傾向をより強く意識した動きになっています。
【米国株概況】
弱気ポジションの巻き戻しが続き米国株は続伸、大手ハイテク決算が市場をけん引
NYダウ 32845.13(+0.97%)[32,493~32,910]
S&P500 4130.29(+1.42%)[4,079~4,140]
NASDAQ 12390.69(+1.88%)[12,181~12,426]
ダウ輸送株 14609.0(+2.34%)[14,248~14,670]
半導体SOX 2967.1(+0.77%)[2,892~2,975]
日経平均先物(CME) 27,975(+0.81%)[27,710~28,000]
ドル/円 132.49~134.66
米10年債利回り 2.658%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 98.30(高値123.68:6/14、安値88.53:3/15)
金先物 1781.8(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.5922(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)22.33(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 42(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)78.19(安値72.92:6/13)
7/29の米国市場は経済指標鈍化で金融引き締めペースが減速するとの期待から、景気後退懸念は金融緩和環境を長引かせる可能性をより意識させ、売り方の買戻しによるペイントレードが継続。主要株式3指数はそろって続伸し、月末のリバランス売り観測も無難に消化しました。
また、市場の極端な弱気ポジショニングが修正を迫られる中、投資家が夏休み前のポジション整理に動く季節性やトレンド・フォロー戦略のヘッジファンドが底値反発から自動的に買いトリガー発動する水準に達するなどして、不況時の株高が演出されやすい状況となっています。
とはいえ、弱気相場の中での中間反騰としては、ポジション巻き戻しに需給要因による部分が依然として大きく、月間上昇率がNYダウ、S&P500、ナスダックいずれも2020年以来の大幅高を記録したことと相まって、売り方の買戻しが一巡するタイミングも迫っています。
米長期金利低下を背景に大手ハイテク株の上昇が指数を引き上げており、決算発表後のアマゾンが+10.4%と2ケタ上昇、石油大手のシェブロンも+8.9%と高騰、景気悪化懸念などから一時期よりもハードルが引き下げられた市場予想を上回る企業にショートスクイーズ(売り方の買戻し)が発生しやすくなっており、決算前のキャタピラーもこのタイミングで+5.5%と大幅高しました。
その一方、決算発表によって見通しを引き下げた半導体インテルが▲8.6%と急落、インテル以外の半導体株が軒並み上昇している中でこの急落は目を引くものです。また、生活必需品のP&Gも▲6.2%の大幅安で、市場の株高とは裏腹に個人消費が冷え込む懸念も同居している状況を映しています。
これらのほか、米上場廃止観測の悪材料で急落した中国アリババは▲11.1%と突出した下落幅となっており、これはいよいよ次の展開に向けて中国資本が米国から引き揚げられる動きを象徴する出来事になりそうです。
【日本株投資戦略】
足元の株高に隠れて世界同時不況の足音が近づく中、日本が巨額の財政出動に動く可能性
日本株は日経平均の節目28,000円を前に立ち往生、前回の27,000円という節目を前に高いカベを越えてよいものかどうか手探りした状況とよく似ています。
外部環境を整理しますと、金融政策への過度な懸念後退や長期金利低下を背景に欧米株がしっかりで、リスク選好地合いが相場を後押しする一方、以前よりも為替相場がやや円高に振れてきていることが日本株の上値を抑える要因として意識されやすくなっています。
とくに前回5月の決算シーズン後は為替のドル高円安が進んだことで相場を下支えする要因になりましたが、今回8月の決算シーズン後は為替の逆方向の動きが相場の上値を妨げる要因として立ちはだかることになりそうです。
ひとまず日経平均は6月前半の上昇時と同様に27,000円付近でのバンドスクイーズから反騰態勢に入っており、上昇の時間帯としてはまだ続く可能性があるとみられますが、テクニカル・リバウンドと売り方の買戻しが中心となる相場は、突発的な上昇幅は大きくなりがちです。しかし、投資家の収益機会としてみた場合には、引き受けるリスクと得られるリターンの整合性がとりづらく、難易度としては高い状況と言えます。
市場物色は個別重視になっていますので、銘柄選別がうまくいけば短期間に高いパフォーマンスを見込める期待感がある一方、銘柄選別をしくじった場合には下値リスクが普段よりも大きくなりやすいのが特徴です。ただでさえ決算シーズンは値動きが荒くなりますので、とくに決算シーズン後半戦は全体の地合い変化にも注意を払っておきましょう。
他方で、この7月末には政府の23年度概算要求が明らかにされ、「新しい資本主義」に基づく重要政策向けに4.4兆円規模での特別枠を設けたと伝えられています。このほかに防衛や脱炭素、インフレ対策などは危機対応という名目であれば重要政策として具体額なく青天井で歳出を膨らませる可能性も取り沙汰されており、緊縮財政を掲げる日本政府がいよいよ財政出動を本格化させることになるのか非常に注目度が高いところとなります。この来年度予算は年後半の相場と大きく関連づくもので、今回の【先読みの近未来】(スタンダード会員以上の方対象)ではこれを詳しく掘り下げていきます。
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