【7/22日本市場の確認ポイント】
日経平均 27914.66(+0.40%)[27,701~27,952]
TOPIX   1955.97(+0.28%)[1,943~1,958]
マザーズ  712.78(▲0.26%)[707~716]

値上がりセクターTOP5
1.海運(+4.75%)
2.サービス(+1.20%)
3.不動産(+0.88%)
4.電気機器(+0.86%)
5.その他金融(+0.79%)

値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲2.66%)
2.空運(▲1.31%)
3.石油・石炭(▲1.07%)
4.医薬品(▲1.07%)
5.鉱業(▲1.05%)

 7/22の日本市場は7月米FOMCの1.0%利上げは実現されないとの見方や長期金利低下を好感したハイテク株高を中心に欧米市場の堅調な動きを背景に続伸、7/13以降の日経平均は7連騰を達成しました。6/9以来の高値27,952円をつけて、大台の28,000円まであと一歩のところにまで迫っています。

 決算シーズン入りで企業業績の注目が高まる中、7/21に海運大手3社がそろって上方修正を発表、中でも川崎汽船(9107)が+11%高と急騰、日本郵船(9101)も+4%高と全体をけん引。さらには米長期金利低下と半導体SOX指数の戻り攻勢から東京エレクトロン(8035)やリクルート(6098)、キーエンス(6861)など主力グロース株が強い動きを示しました。

 一方、ディフェンシブ系の売りは強まり、燃料高の価格転嫁が困難になるとの見方が強まった電力株が軒並み下落、東京電力(9501)は▲8%安と大幅に一段安となったほか、医薬品株や保険株なども市場に逆行安の動きを見せました。この日は前日に高騰した新興・小型株のマザーズも反落しましたが節目の700ポイントは維持し、戻り高値付近でのもみ合いとなっています。

【米国株概況】
米企業決算に警戒感強まるも影響は局所にとどまる、今週は米企業と米金融政策を左右するイベント満載

NYダウ 31899.29(▲0.43%)[31,731~32,219]
S&P500 3961.63(▲0.93%)[3,938~4,012]
NASDAQ 11834.11(▲1.87%)[11,767~12,093]
ダウ輸送株 13811.2(▲0.39%)[13,726~13,944]
半導体SOX 2842.4(▲2.55%)[2,820~2,906]
日経平均先物(CME) 27,640(▲0.90%)[27,570~27,955]
ドル/円 135.59~137.95
米10年債利回り 2.754%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 95.09(高値123.68:6/14、安値88.53:3/15)
金先物 1725.30(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)
銅先物 3.3243(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)23.03(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 39(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)76.89(安値72.92:6/13)

 7/22の米国市場は7月米購買担当者景気指数(PMI)が総合で47.5ポイントと急低下し、約2年ぶりに50割れとなり好不況の節目を下回ったことをうけて米景気後退への懸念が再燃。主要株式3指数はそろって反落となり、債券が買われて長期金利は低下、WTI原油価格も反落となって投資家心理に冷や水を浴びせました。

 NYダウは4日ぶりの反落で半導体関連のインテルや通信大手のベライゾンが大幅安となったものの、指数に対する構成割合は比較的小さく影響は限定的。その一方で、ハイテク株主体のナスダックは強めに売りが出ており、SNSのスナップチャットが決算嫌気で▲39%安と暴落したことをうけてメタ(旧フェイスブック)やアルファベット(旧グーグル)などネット広告大手にも連想売りが波及し、メタは▲7.6%安、グーグルは▲5.6%と大幅安となりました。

 直近で上げ足を速めてきた半導体関連株も軒並み上昇一服となり、エヌビディア、AMD、マイクロンが▲3%を超える大幅安で、半導体SOX指数も▲2.5%安と2900ポイント台回復から間もない中での反落となりました。

 上昇セクターは公益・不動産・生活必需品の3セクターのみで、ハイテクグロース株買戻しの流れが一服して、ディフェンシブ系に資金が回る構図となりました。7/26にはマイクロソフト、アルファベット、27日にはメタ、28日はアップル、インテル、アマゾンと主力のグロース株決算が目白押しとなっており、そのうち決算発表前に急落したアルファベットやメタが実際の決算発表後で買い戻されるのか、さらに売り叩かれるのか目が離せない状況となっています。

 そのほか、今週は26日から27日かけて米FOMCが開催され、米4-6月期GDPも28日に発表を控えています。上述の景況感悪化が鮮明となる中で米GDPが1-3月期に続いて2期連続でのマイナス成長となれば景気後退が意識されやすく、金融当局が意識的に景気を冷やしていると理解していてもテクニカル・リセッションに対する警戒感が再燃する状況に変わりありません。要は早いか遅いかの問題で市場が完全に景気後退の懸念ピークをいつ時点で織り込むことになるのかが重要なポイントになります。

【日本株投資戦略】
米国株の上昇一服でも底堅く推移しそうな日本株、一方で為替相場の反転が示す大転換点も忍び寄る

 米国株が4日ぶりに反落となった動きをうけて、直近の急ピッチで上昇してきた勢いも一旦削がれることになりそうですが、欧州株は米国時間もしっかりの動きでした。欧州株や日本株は米国に遅れて上昇するのがセオリーであるため、案外、今週も利益確定売りをこなしながら戻りを試す動きが続く可能性があると言えます。

 今週前半に米FOMCを材料消化すれば否が応でも企業決算に注目が集まりやすい状況下で、今のところ決算後の株価反応は局所的に凄惨な売りがみられてもそれが全体に波及するといった現象はみられておりません。地合い悪化の際であれば、かつてはフェイスブック・ショックやグーグル・ショックなど、いずれもフラッシュ・ショックの類でしたがそれが全体安にまで波及しました。

 今週の米大手ハイテク企業の決算ラッシュでそうした事態に陥るとの警戒感は今のところ希薄で、リスク指標もVIX指数は22ポイント台まで低下、Fear&Greed指数も以前の1ケタ台からはだいぶ回復しており、それら以上にハイ・イールド債が安値からだいぶ戻してきています。このような場合、仮にのいずれの企業決算で躓いたにしても全体には影響がさほど広がらず、押し目買いが入りやすいと言えます。

 現在の好地合いはまだ続く見込みがあると言えますが、世界景気のファンダメンタルは悪化の一途を辿っているとみられ、需給要因での戻り相場が一巡してくれば当然のようにファンダメンタル要因を織り込む動きに変化していきます。

 直近では海運大手の業績上方修正で企業決算に対する警戒感は緩くなっているとみられますが、これらはコロナ禍以来の好業績銘柄でかつ市場の先導役でもあった優良株ですので、今のブームが長続きすることは期待薄です。前回解説したように為替水準によって利益を押し上げられている影響が大きいのも事実、足元ではこの為替相場が日本株にとっての命綱になっていると言っても過言ではありません。

 為替ドル円は直近で米景気後退懸念および米長期金利低下から円高気味に推移してきていますが、それでもなお136円台で日本企業が5月の本決算時期に発表している想定為替レートは高いところでも130円で、業績上振れ要因となります。ですから、市場が為替影響での業績上振れに慣れて株価がそれを織り込み完了となった時点、もしくは為替がここから一段と円高に振れて130円を切れてくるような事態で、今の相場は転換点を迎えることとなります。それまでは決算プレイ含めて短期のサマーラリーが賑わう期間と言えるでしょう。

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