【7/14日本市場の確認ポイント】
日経平均 26336.66(▲1.77%)[26,278~26,718]
TOPIX 1883.30(▲1.64%)[1,879~1,908]
マザーズ 670.06(▲1.40%)[668~675]
値上がりセクターTOP5
1.農林・水産(+4.49%)
2.海運(+2.42%)
3.精密機器(+1.25%)
4.電気機器(+1.11%)
5.鉱業(+1.00%)
値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲1.84%)
2.空運(▲1.25%)
3.銀行(▲1.25%)
4.保険(▲1.19%)
5.紙・パルプ(▲0.28%)
7/14の日本市場は東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1051/値下がり697で買い優勢の展開、米国株の軟化をものともせず為替円安が支援材料となって日本株の優位を際立たせています。反発を強めるときにはやはり東京エレクトロン(8035)はじめ半導体株や川崎汽船(9107)をはじめとする海運株など景気の先導役の上昇が目立っています。
それらに加えて、キーエンス(6861)の+3.5%高や日本電産(6594)も2%超の上げ幅を記録し、製造業の大手に強い動きがみられています。象徴的なのはやはり為替円安の恩恵が大きい自動車株ですが、これらも押し並べて買いが入るなど全体に好影響をもたらしています。為替相場の神通力が通用している間に再び日経27,000円の壁を突破できるかが焦点となりますが、昨晩はドル円が 139円台をつけて大きな節目の140円が近づいていることを考えると、今の株価水準ではむしろ物足りなさが感じられると言っても良いでしょう。
日銀による政策変更を決断する可能性が無ければ気にせずともよいでしょうが、市場で時限爆弾のようにちらついている状況では局面転換が無いとも限りませんので、こちらも米国の金融政策と並んで注目しておかなければならないでしょう。そういう意味で、今の株価水準では貯金が少なく、いささか不安を感じさせるところであり、26,000〜27,000円で保ち合っている場合ではありません。
【米国株概況】
米国株大幅下げから大きく買い戻され、ナスダックはプラス転換、債券市場の逆イールドは継続、金融大手から決算入り
NYダウ 30630.17(▲0.46%)[30,143~30,680]
S&P500 3790.38(▲0.30%)[3,721~3,796]
NASDAQ 11251.19(+0.03%)[11,005~11,279]
ダウ輸送株 12965.4(▲0.27%)[12,748~12,978]【安値更新】
半導体SOX 2626.9(+1.92%)[2,529~2,636]
日経平均先物(CME) 26,700(+0.00%)[26,290~26,755]
ドル/円 137.32~139.38【高値更新】
米10年債利回り 2.961%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 96.35(高値123.68:6/14、安値88.53:3/15)
金先物 1708.00(高値2,085:3/8、安値1,695:7/14)【安値更新】
銅先物 3.2305(高値5.0395:3/7、安値3.1745:7/13)【安値更新】
恐怖指数(VIX)26.36(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 23(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.55(安値72.92:6/13)
7/14の米国市場は前日の米6月消費者物価指数(CPI)に続いて米6月生産者物価指数(PPI)が発表され、いずれも前年比で高い伸びを記録し、インフレ高進への懸念が高まるも、この2日間は序盤の大きな下落を終盤には取り戻してくる動きを見せています。水準としては連日低下傾向であることに変わりはないのですが、材料消化後の自律反発を見越して押し目買いを狙う投資家も多いと見受けられます。
この日は金融大手のJPモルガン、モルガン・スタンレーが決算発表し、米企業決算の先陣を切りましたが内容が期待外れで決算前の他の金融株にも連想売りが波及しました。しかし、アップルやクアルコムなどハイテク製造業が見直される動きやウォルマート、コストコ、ビザなど米国の個人消費に直結してくる銘柄群が安値から大きく買われるなどして相場の下支えとなり、全体としてはまちまちの動きとなりました。株式指数ではNYダウが一時600ドル超安から下げ幅を縮小し、ナスダックが小幅ながらにもプラス転換、半導体SOX指数は+2%弱の反発を見せるなどして、明るさも垣間見えています。
これから米企業の決算が集中してくる時期を迎えるにあたり、NYダウの下値30,000ドルの攻防も激化してくることが予想されますが、マクロの景況感悪化を個別企業の決算で市場警戒感を払拭できるかが大きな焦点になってきます。直近の米経済指標からはどれも強い数字が確認されており、月末最終週の7月FOMCでは大幅利上げが避けられない見通しとなってきました。
今週を境に金融当局の現メンバーからはブラックアウト期間に伴い金融政策に関する発言はみられなくなりますが、直近のコメントでは0.5%〜1.0%の利上げ可能性が取り沙汰されています。0.5%と1.0%ではマーケットインパクトが天と地ほどにも違ってくるのですが、市場懸念の特徴は今年2月・3月のロシアによるウクライナ侵攻時で安値形成したのと同様に、7月末にまず1回目のピークを迎え、そこで一旦材料出尽くしになるでしょう。そして揺り戻しがあった後に大幅利上げの波及効果が徐々に浸透し、次回9月FOMCまでに2回目のピークを迎えて、織り込み完了とともに1番底・2番底が確定してくることになると考えられます。
足元では投機的な商品市況の高騰も収まりつつあり、原油・金・その他金属類、穀物類いずれも相場は高騰前の水準まで往って来いの動きとなっています。とくに金融当局は過熱感を冷ます意図から金融引き締めを行い、あえて景気後退させることによって需要を減退させインフレ抑制に努めようとしているようにみられ、いわばチキンレースでギリギリのところでブレーキをかけることを狙ってコントロールしようとしているようなものです。
2022年におけるFF金利の誘導目標は中間値で3.375%ですから、3月0.25%、5月0.50%、6月0.75%ときて7月は0.75%もしくは1.0%とすると2.5%〜2.75%が現状となり、残すは9月、11月、12月のFOMC回数を鑑みると、今回で概ね峠を越えてくるところとみておいて良いでしょう。懸念はあくまで懸念ですから、本当に景気後退が実体経済を蝕むようになるまでにはまだ時間的猶予が残されています。この間に各国が実体経済をテコ入れして、予定している巨額のインフラ投資を決めることができれば市場の懸念を払拭し、一時的にも景気浮揚させるには十分な材料になりうることでしょう。
【日本株投資戦略】
為替円安を背景に底堅さを見せつける日本株、記録的円安の裏で海外勢による「日本買い」も始まった!?
足元の日本株は米国株4日続落の流れに抗いつつ、大手半導体株が奮起して2連騰となりました。警戒されていた6月米消費者物価指数(CPI)が前年比+9.1%と高い伸びを示したものの、事前周知からある程度織り込まれていたようで、米国株が序盤の下げから戻して材料を無難に消化できたことをうけて、日本株においても過度な警戒感が和らぐ展開となりました。
また、為替相場でドル円が138円台と高値更新したことを背景に自動車株や海運株に買いが入ったほか、電子部品株など輸出関連株の多くが買い戻されています。米国株が今年の底値圏で往来する値動きの荒い展開となっているのに対し、日本株は為替相場で下押し圧力が緩和されるといった動きを続けており、底堅さでは一歩上回っていると言えるでしょう。
ただし、下値圏での保ち合いの現状も6月の高安から上値切り下げ・下値切り上げで徐々に煮詰まってきつつあり、日経平均は27,000円から上を試しに行くことを躊躇しています。いち早く決算発表を迎えたファーストリテイリング(9983)が上値を伸ばすか、半導体株はじめ輸出関連株の製造業大手が強い動きを示せれば全体を牽引できるものと考えます。個別ではまもなくやってくる決算発表シーズンで明暗が大きく分かれることになりそうです。
昨日東証から発表された7月第一週(7/4〜7/8)の投資部門別売買状況では、海外勢が現物・先物合わせて1兆1890億円の買い越しであったほか、財務省の対外体内証券投資では7/3〜7/9で2兆円あまりの中長期債を買い越し、短期債は3.5兆円あまりの買い越しで、最近の中では異様に巨額資金が日本買いに走っています。もちろん参院選前での自民大勝を見越しての特殊要因も関係しているかとは思いますが、海外勢からみれば数十年ぶりの記録的な円安を好機とみて日本買いが始まってきたと言っても過言ではありません。
資金需給的にみて日銀・財務省が足元の円安を注視しながらも動かないのも納得のところですが、為替水準はむしろ過去の歴史を振り返れば政治的な意図でもって政策判断がなされる場面が多くみられてきました。イエレン財務長官の来日で話し会われたことやG20の場でのドル独歩高に対する国際的な議論が取り交わされた本当の内容が明らかになるのはこれからです。引き続き為替市場には目を光らせておくべきでしょう。
足元ではディフェンシブ買いがひと段落して景気敏感株を見直す動きも出始めてきました。この動きが本格化してくるかどうかも含めて企業決算への期待感はそれなりにあると言ってよいでしょう。ファンダメンタル関係なくウクライナ問題や景気後退懸念で売られ過ぎたものは必ず水準訂正の動きが出てきます。要するに早いか遅いかの話なわけですが、先走り過ぎてもトレンド反転前の落とし穴にハマってしまいますので、時間的な余裕をみながら次の決算シーズンは業績が良くても売られたところを狙っておくようにするとよいでしょう。
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