【7/12日本市場の確認ポイント】
日経平均 26336.66(▲1.77%)[26,278~26,718]
TOPIX 1883.30(▲1.64%)[1,879~1,908]
マザーズ 670.06(▲1.40%)[668~675]
値上がりセクターTOP5
1.農林・水産(+0.71%)
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし
値下がりセクターTOP5
1.機械(▲3.15%)
2.ガラス・土石(▲2.68%)
3.電気機器(▲2.46%)
4.非鉄金属(▲2.42%)
5.金属製品(▲2.31%)
12日の日本市場は米国株安をうけて下落スタート、下げ幅を拡大しつつ終日にわたって軟調に推移しました。米ナスダックの大幅安をうけてグロース株が総じて弱く、とくに大手半導体株の東京エレクトロン(8035)が直近安値に肉薄、米上場の中国株安をうけたソフトバンクG(9984)が▲4%超の下落で全体の下げを主導しました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり161/値下がり1654で、上昇銘柄はディフェンシブ系に集中、セクター別には日本水産(1332)の逆行高が目立った農林・水産セクターのみが値上がりとなりました。その他、ゲーム、生活必需品、医薬品、保険、通信、電力などが希少な逆行高を見せました。
それにしても日米株ともに主力どころのハイテク株が軒並み安となる中、とくに半導体関連やFA関連といった景気敏感グロース株が売られる時には値幅を伴った下落となっており、ここにきてもまだ売り圧力の強さを感じずにはいられません。景気後退懸念は米景気というよりも世界景気全体に波及してきたとみられ、米国市場の底入れ期待を打ち消すかのようです。
【米国株概況】
地合い悪化とともに次々と持ち込まれる市場波乱の芽、米経済より深刻なのはユーロ圏、新興国リスク
NYダウ 30981.33(▲0.62%)[30,860~31,346]
S&P500 3818.80(▲0.92%)[3,802~3,873]
NASDAQ 11264.73(▲0.95%)[11,207~11,483]
ダウ輸送株 13172.0(▲0.56%)[13,073~13,367]
半導体SOX 2558.2(+0.18%)[2,542~2,588]
日経平均先物(CME) 26,435(+0.59%)[26,235~26,685]
ドル/円 136.48~137.52【高値更新】
米10年債利回り 2.971%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 95.67(高値123.68:6/14、安値88.53:3/15)
金先物 1724.10(高値2,085:3/8、安値1,792:5/16)
銅先物 3.2565(高値5.0395:3/7、安値3.2530:7/12)【安値更新】
恐怖指数(VIX)27.29(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 26(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.77(安値72.92:6/13)
12日の米国市場は主要株式指数がそろって続落、債券市場では2-10年国債利回りの逆イールドが進展、為替ではドル円が137円台に突入したほか、ユーロ/ドルが1.0ドルに達したことでユーロ売りに注目が集まりました。加えてWTI原油先物市場では世界景気減速への懸念が深まり急落、商品市況では銅価格も安値更新の動きとなりました。
今晩発表の消費者物価指数(CPI)をめぐり、米FRBメンバーによる高い数値が出る見通しとの言及がみられたことで、前回の米雇用統計結果とあわせて改めて次回7月FOMCでの大幅利上げ観測が高まりました。インフレ懸念と景気後退懸念のダブルパンチで、米経済だけでなく世界全体にスタグフレーションに陥るとの懸念が再燃しています。
また、IMF(国際通貨基金)が今年の米成長率見通しを2.9%⇒2.3%に下方修正するとともに、来年は1.7%⇒1.0%へと引き下げました。加えて、将来の失業率予測を大きく引き上げ、今年3.2%⇒3.7%、2024年~25年にかけては5%を上回る見込みであることを発表しました。
金融市場でこれまで以上に注目度の高い6月CPIは市場予想8.8%と5月からさらに加速するとの見方で、なかには9%に達するとの予想も出ています。ただ、直近では原油はじめ金属類や穀物類の相場下落が顕著となっており、6月ピークアウトの期待もされています。
上記のCPI数値に言及したリッチモンド連銀のバーキン総裁は政策金利を最速で中立水準へと引き上げるべきとの見方を示したほか、金融当局は「景気下降が壊滅的」とならない程度に景気を冷ますという「非常に困難な任務に取り組んでいる」と述べました。ただ、この方は今年のFOMCでは投票権を持っておらず、投票メンバーの代弁者の役割を担っているともとれます。
市場では目先のCPI発表や7月FOMCへの注目が集中する一方、IMFのゲオルギエワ専務理事は世界的な債務危機について警告しており、中央銀行によるインフレ抑制を目指した利上げが、脆弱な国の債務返済コストを押し上げていると述べました。
これはむしろ新興国経済の危うさを指摘しており、各国の利上げ競争とともに自国通貨防衛で為替市場での戦線拡大が懸念されるべきであることを示しています。この点については【先読みの近未来】(スタンダード会員様以上の方対象)では以前から何度も解説してきたことですが、ご購読者はとくに直近の(7/6号)を再度読み返していただくとよいでしょう。
【日本株投資戦略】
日経27,000円で押し戻された日本株、6月の28,000円達成後の急落の悪夢が再び蘇る
世界経済の混迷がより深まっている中、日本株は参院選後のご祝儀も重なり日経平均の27,000円台回復が実現しました。ただ、6/28高値の27,062円にはギリギリまで迫るも越えられずに失速してしまい、早くもご祝儀相場としての市場ムードは消え失せてしまったかのようです。
前回も着目した7/8の50%超の高い空売り比率が示しますように、上がれば売り叩かれる足元の市場動向が変わらない限り、底入れ期待で戻ってきてもさらに買い上がるエネルギー、すなわち出来高を伴ったものでなければ上値抵抗をブレイクすることはできません。
たとえば今晩の米CPI結果をうけて過度な警戒感が和らぎ、市場反応が強い上昇を示したとしても、流動性が低下している中で売り方が買戻しを急いだだけで値幅が出ただけでは買戻し一巡後にはまた元サヤに戻ってしまいます。
それがかえって中途半端に上昇に釣られて買いを誘い込まれた投資家の損益状況を悪化させることとなり、需給面での改善がなかなか進んでいかないために、次の下落局面では上昇分以上の下落を引き起こしてしまう悪循環となります。
インフレ懸念や景気後退懸念など様々に言われていますが、要は米金利上昇に対して株式市場が金利耐性を示すようになるまでは底値買い以外は報われません。付け加えると、底値買いできたと思っても高望みし過ぎると、2ケタ以上のパフォーマンスが含み益になっても簡単に帳消しにされてしまうのが現状の相場における難易度が高いことを示すものです。
株式市場におけるバリュエーション調整はだいぶ進んできたとみられますが、上段の【米国株概況】でも述べましたようにリスク懸念は米景気から世界景気へと波及がみられ、市場ではまだブラックスワンリスクまでは当然織り込んでいません。しかも火種は一つではなく複数あるため非常に厄介と言えます。
足元でのG20やバイデン米大統領の中東歴訪、さらに来週はプーチン露大統領がイラン・トルコとのトップ会談を予定している模様ですので、国際情勢からみればこれからさらに渦中へと巻き込まれていく金融市場の現実が浮かび上がることでしょう。本日の【先読みの近未来】(スタンダード会員様以上の方対象)もこの辺りを詳しく掘り下げながら次の展開を解説していきます。
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