【7/5日本市場の確認ポイント】
日経平均 26423.47(+1.03%)[26,294~26,532]
TOPIX   1879.12(+0.50%)[1,872~1,886]
マザーズ 666.69(+1.92%)[657~671]

値上がりセクターTOP5
1.保険(+3.08%)
2.鉱業(+2.57%)
3.石油・石炭(+2.08%)
4.銀行(+1.01%)
5.非鉄金属(+0.92%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲2.25%)
2.不動産(▲1.28%)
3.紙・パルプ(▲0.62%)
4.陸運(▲0.60%)
5.電気・ガス(▲0.52%) 

 5日の日本市場は米国休場による手がかり難の中でグロース株を中心に奮起して続伸、日経平均はファーストリテイリング(9983)、ソフトバンクG(9984)はじめエムスリー(2413)などが押し上げ役となりました。一方、TOPIXは東京海上HD(8766)など保険株が軒並み大幅高したものの海運株や不動産株が逆行安し、全体の足を引っ張りました。

 日経平均は月初の26,000円割れからひとまず26,500円の水準まで戻りを試し、半値戻しで一息ついたところ、休場明けの米国株待ちで出来高は膨らみませんでした。ただし、米金利低下をうけたグロース株の動きが相対的に良くなっており、マザーズも+2%弱の上昇をみせました。

 全体に景気後退懸念が上値の重しになる中で、参院選真っ只中における材料物色、短期需給思惑による売買は活発で、エネルギー関連や電池関連など人気テーマ株に短期資金が集中しやすい格好となっています。また、直近IPO株で利益確定した資金が新興・小型株に還流しており、中小型株の需給はようやく好転の兆しが感じられてきたとみられます。

【米国株概況】
米債市場で再び逆イールド発生、景気後退懸念燻る中で米金利低下をうけたハイテク株は反発、原油先物100ドル割れの商品市況暴落

NYダウ 30967.82(▲0.42%)[30,355~30,971]
S&P500 3831.39(+0.16%)[3,742~3,832]
NASDAQ 11322.24(+1.75%)[10,911~11,323]
ダウ輸送株 13216.6(▲0.55%)[12,997~13,228]
半導体SOX 2477.6(+0.78%)[2,387~2,477]【安値更新】
日経平均先物(CME) 26,245(▲0.36%)[25,895~26,515]
ドル/円 135.55~136.34
米10年債利回り 2.818%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 99.55(高値123.68:6/14、安値88.53:3/15)
金先物 1763.80(高値2,085:3/8、安値1,792:5/16)
銅先物 3.4280(高値5.0395:3/7、安値3.4007:7/5)【安値更新】
恐怖指数(VIX)27.54(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 24(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.91(安値72.92:6/13)

 独立記念日で休場明けとなった5日の米国市場は債券市場で景気後退懸念が強く意識され金利が一段と低下。2年-10年の長短金利差が逆転する逆イールドが再び発生し、投資家のリスク選好度が低下して安全資産に退避する動きが強まりました。

 株式市場では欧州時間から急落してきた先物市場の動きをうけながら、NYダウは一時▲700ドル超の大幅安となり、米WTI原油先物相場でも一時97ドル台まで▲14ドル安の暴落商状となりました。他の商品先物相場も同様に銅などの金属類、コーンや小麦など穀物類まで軒並み大幅安となりました。

 これらに伴い、ガソリンや天然ガスなどエネルギー資源が大幅安となり市場のテーマはインフレから景気後退へとシフトする動きを強め、前回の【米国株概況】で述べた流れが本格化してきたと言えます。

 その一方、米国における製造業への懸念を強めておりましたが、この日発表の5月製造業新規受注額は市場予想0.5%増に反して1.6%増と大きく上回り、製品需要は堅調であることが確認されたことはポジティブ材料です。

 また、米金利が一段と低下したことをうけて主要IT大手のGAFAMが反発に転じたのをはじめ、大きく売り込まれた半導体関連株が安値を掘り下げた後に急反発し、ナスダックは安値から+3%超の切り返しを見せました。半導体SOX指数は一時2,300ポイント台をつけましたが、そこから+4%近く買い戻されたことになります。

 米景気後退懸念の背景にある米金融政策をめぐっては今晩6日に米FRBが6月FOMC議事要旨を公表する予定となっており、次回7月会合でも大幅利上げを決定する見込みですが、足元の株安というよりも週末8日の米6月雇用統計が注目されます。労働市場が強ければ金融引き締めを正当化する材料となり、一方弱ければ景気後退懸念がより強まる材料となるため、株式市場にとってはどちらにしても逆風との見方が強まっています。

 したがって、指数を動かす大手ハイテク株の反発は相場下支えの役割を果たす一方で、景気後退懸念はまだしばらくの間は市場の重しとして意識されやすいことから、米金融政策の方向性が変更されるまではダウンサイドリスクを抱えた状態での一時的な反発に過ぎないとの認識が必要となります。

【日本株投資戦略】
日経平均は意外な底堅さを発揮する可能性とダマシ上げには要警戒

 米国休場明け待ちだった日本株は昨晩の米国株の動きをうけて比較的底堅い動きを継続する可能性がある一方で、景気敏感株は売られやすい傾向もまた継続して、急落リスクを内包した状態にあると言えます。

 米金利低下を背景に米ハイテク大手や半導体大手が反発をみせたことで、日本でも日経平均構成銘柄のうち指数寄与度が大きい値がさグロース株が買われやすくなるとみられ、東京エレクトロン(8035)やソフトバンクG(9983)などの動向が注目されます。

 また、指数に関しては週末にマイナーSQを控えている関係から、中期的な相場のトレンドを一時的に逸脱する動きが出てきても不思議はありません。今週末にかけて日経平均が再び27,000円台を窺う動きをみせるかも重要ですが、これまでファーストリテイリング(9983)に押し上げられてきた面があり、こちらが逆に上昇一服となってくると現在の水準あたりで一進一退となりやすいと言えます。

 このように日経平均をめぐっては強弱感が対立しやすい状況と言える一方で、TOPIXはバリュー株の躍進に支えられてきたと言え、これらは景気や金利に敏感な銘柄の影響が強く出やすい特徴があります。米国株の物色でも原油価格急落をうけたエネルギー株や長短金利差の縮小をうけた金融株の下落が目立ち、日本でも資源関連株や銀行・保険といった金融株の値崩れが意識されやすくなってくるでしょう。

 したがって、足元の物色傾向などをふまえてもディフェンシブ株やテーマ株などの局所的な物色材料のあるところに資金が集中しやすいと思われますが、この選挙期間中を過ぎると再び市場の関心はマクロ環境、すなわち米金融政策の行方と景気動向に焦点が移っていきます。

 直近で高値圏にあるディフェンシブ株などは投資資金の退避場所としての側面がある一方で、こちらから資金逃避が起きるような場合には全体暴落の可能性が強まります。これを回避するためには、景気敏感株へとスムーズに資金循環が進むかが重要です。

 ここで半導体関連株や海運株に底入れの動きが出てこないようだと、これまで指摘してきましたように7月後半はやはり厳しいものにならざるを得ないと言えるでしょう。

 とくに直近のVIX指数低下が不可解な点や原油、商品市況の急落にみる投機マネーが一斉逃避の動きも含めて、本来の教科書的な動きとは大きく異なる一種の相場シグナルが発せられています。よって、株価の一時的なダマシ上げも含めて警戒を強めておいた方がよいでしょう。

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