【6/24日本市場の確認ポイント】
日経平均 26491.97(+1.23%)[26,148~26,519]
TOPIX   1866.72(+0.81%)[1,846~1,866]
マザーズ 671.67(+5.68%)[643~672]

値上がりセクターTOP5
1.海運(+2.29%)
2.化学(+2.23%)
3.サービス(+2.22%)
4.ガラス・土石(+1.68%)
5.電気機器(+1.55%)

値下がりセクターTOP5
1.石油・石炭(▲1.79%)
2.保険(▲1.46%)
3.空運(▲1.38%)
4.銀行(▲1.09%)
5.不動産(▲0.96%)

 24日の日本市場は米金利低下をうけて半導体株中心に見直し買いが入り、底値反騰で日経平均を押し上げ、軟調さが目立った東京エレクトロン(8035)や信越化学(4063)がセンチメント改善に貢献。他にもエムスリー(2413)やソフトバンクG(9984)などグロース株の復調が目立ちました。

 一方、為替円安の一服感から自動車株が売りに押されたほか、景気敏感の重たい業種は売り圧力が強まっており、景気悪化影響の少ない内需ディフェンシブ系の味の素(2802)や花王(4452)などが大幅高で、景気後退懸念を前提とした物色は継続している模様です。原油価格の上昇一服感でインフレ懸念が和らぐとの期待感から自律反発の動きにつながっているとみられます。

 グロース株見直しの影響を色濃く反映したのはマザーズ指数の+5.6%高が象徴的ですが、尤も5月末も似たような現象が起こって戻り高値で700ポイントをつけた後は再び年初来安値を更新しました。地合いが好転した際のリバウンドは大きくなりやすいものの、悪化した時にはそれ以上に売られるということを繰り返しているだけに、明確な底入れが感じられるまでは手がけにくい印象です。

【米国株概況】
景気後退懸念の元凶であるインフレ懸念の後退で米国株は大幅続伸、リスク指標低下で投資センチメントが改善

NYダウ 31500.68(+2.68%)[30,846~31,517]
S&P500 3911.74(+3.06%)[3,821~3,913]
NASDAQ 11607.62(+3.34%)[11,337~11,613]
ダウ輸送株 13548.3(+3.96%)[13,065~13,632]
半導体SOX 2718.5(+4.45%)[2,639~2,719]
日経平均先物(CME) 26,870(+1.47%)[26,080~26,875]
ドル/円 134.35~135.39
米10年債利回り 3.138%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 107.06(高値123.68:6/14、安値88.53:3/15)
金先物 1828.10(高値2,085:3/8、安値1,792:5/16)
銅先物 3.7365(高値5.0395:3/7、安値3.6400:6/23)【安値更新】
恐怖指数(VIX)27.23(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 28(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)75.04(安値72.92:6/13)

 24日の米国市場は前週の大幅安から鬱憤を晴らすような大幅反発で、とくに売り込まれてきたハイテクグロース株の見直し買いが強まりました。ハイテク株主体のナスダックは+3.3%高、半導体SOX指数は+4.4%高とNYダウ+2.6%高をアウトパフォームし、投資家のセンチメントはVIX指数低下、F&G指数の上昇から改善が見てとれます。

 きっかけとなったのは6月ミシガン大消費者信頼感指数の経済指標発表で、確報値では1年先期待インフレ率が速報値の5.4%から5.3%に若干低下したことのほか、将来の5年-10年先期待インフレ率がピークアウトしたとの観測も手伝い、米FRBによる利上げの根拠とされてきたインフレ退治の必要性が弱まるのではないかとの見方に期待感が醸成された形です。

 これを機に7月の米FOMCでは0.75%利上げではなく0.50%に手綱を緩められるとの楽観論も飛び出し、強い売り攻勢をかけてきた売り方が一気に買戻しを進めたことで、米株大幅続伸につながりました。ただ、株式市場のリスク選好ムードと合わせて足元で急落してきた原油価格も連れ高してしまい、インフレ懸念が本当にピークアウトに向かうのか、懸念後退が一時的なものなのかの議論はまだ続くものとみられます。

 何はともあれ米株市場は全面高となり、全業種が反発を見せた中でハイテク株だけでなく素材や金融、一般消費財、資本財までもが+3%超の大幅高となり、とくにカジノ関連株が軒並み2ケタ上昇を見せています。株式市場もカジノ並みにギャンブル性を帯びた乱高下となっており、足元の底値波乱が落ち着いた時にトレンド転換までつなげられるかは依然不透明な状況と言えます。

【日本株投資戦略】
米国株の自律反発に追従できるか試練の時、直近高安の半値戻しは日経26,950円

を強めた米国株大幅続伸をうけて大幅高スタートの期待が膨らんでいます。時間外の日経先物では26,800円台へと急伸の動きで、為替ドル円は135円近辺ですが米長期金利低下、インフレ懸念緩和、米FRBの金融引き締めペース鈍化の期待感が足元の自律反発期待を後押しする格好です。

 ただし、米経済指標の改善を手がかりに株価は大幅反発を見せましたが、直近での米株が大幅高した際の出来高は下落時のそれと比べて大きく減っていることが特徴的です。つまり、商いが薄い中での株価はトレンド転換にいたるまでのエネルギーを持ち合わせていないことを気に留めておく必要があります。

 以前ここでは日本株における株価の乱高下は今後一層激しさを増してくることと同時に、前回は米国株との優位性に陰りが見え始めていることを指摘しましたが、米国株に一定の下げ止まり感が見え始めてきても日本株は思ったより上値が重い、あるいは地合い悪化の際に米国株よりも大きく下げるといった現象が今後生じてくる可能性があります。

 6月末は例年、3月期決算企業の配当支払いがピークと株主総会が集中するため、需給面に好影響をもたらしやすいといえるほか、日米ともに年金のリバランスが大きく入る時期となります。ただし、そうした特殊需給が発生しやすい状況下で上昇時の出来高が下落時のそれよりも小さくなるというのは問題で、結局は今の相場を動かしているのは売り方であることを示します。

 市場の流動性が低下している問題は株式市場だけでなく債券市場、為替市場でも一様にみられている現象であり、株価や他のリスク資産において乱高下が生じている根本原因はまさにこの点にあります。

 これは一過性要因ではなく米国がQT(金融引き締め)を開始した以上、これから長期間にわたって付き纏う問題となりますので、投資の難易度はそれ以前と比べて格段に上がっていることになります。

 とくに足元における自律反発を促した市場のインフレ懸念および景気後退懸念の緩和期待のように、経済指標一つで市場の見方がコロコロ変わる場面というのはしばらく付き合っていかなくてはなりません。ある意味コロナ相場と似たようなところもあるかと思います。

 景気動向をめぐってはもっと大きな流れのサイクルと関係するところで、景気後退懸念を払しょくする(市場が織り込み完了となる)までには、少なくとも経済指標で連続改善が必要とされます。よって、次回以降7月、8月の結果確認が必要と考えますと今秋くらいまでを待たねばならないかもしれません。

 投資家としてはそれまでの間、この高ボラティリティのジェットコースター相場をどう立ち回るのか、あるいは生き残り優先で静観を貫くのかをまず選択しなければならないでしょう。

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