【6/21日本市場の確認ポイント】
日経平均 26246.31(+1.84%)[25,972~26,418]
TOPIX   1856.20(+2.05%)[1,833~1,863]
マザーズ  640.35(+4.06%)[621~643]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+4.84%)
2.空運(+3.12%)
3.不動産(+3.03%)
4.保険(+2.94%)
5.石油・石炭(+2.93%)

値下がりセクターTOP5
1.なし
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし

 21日の日本市場は米国休場の手がかり材料に乏しい中で反発、前日の5月安値割れからの反動もあって全面高商状でした。時間外の米株先物にらみで確りのスタートから日経平均は26,000円台を回復、中国市場の反発を確認して後場も上値追いの展開を続けました。ただし、14時過ぎから上海が下落に転じたことで上げ幅を縮小し、26,500円回復には今一歩のところで届きませんでした。

 全面的な押し目買いから東証33業種すべてのセクターが値上がりし、TOPIXは+2%の上昇、マザーズ指数も+4%の上昇でリスクオンムードが広がりました。個別には、前日に大きく崩れた半導体関連株や資源関連株が大きく買い戻されており、東京エレクトロン(8035)やソニー(6758)のほかINPEX(1605)なども持ち直しの動きから一段高になりました。材料物色ではサイバーエージェント(4751)やIHI(7013)も大幅高。

 セクター別では、20日に逆行高を見せた空運株が大幅高、ほかに不動産株や保険株が軒並み+3%超の上昇となり、三井不動産(8801)や三菱地所(8802)、東京海上HD(8766)などは高値圏に舞い戻る動きを見せました。

【米国株概況】
奴隷解放記念日による休場明けの米国株は大幅反発、米金融政策をめぐる期待感と今日明日のパウエルFRB議長議会証言に注目

NYダウ 30530.25(+2.14%)[30,074~30,653]
S&P500 3764.79(+2.44%)[3,715~3,779]
NASDAQ 11069.30(+2.50%)[10,974~11,164]
ダウ輸送株 13061.6(+1.50%)[12,979~13,130]
半導体SOX 2649.4(+2.75%)[2,634~2,685]
日経平均先物(CME) 26,440(+0.80%)[25,450~26,485]
ドル/円 134.91~136.69【高値更新】
米10年債利回り 3.279%(高値3.498%:6/14、安値1.668%:3/7)
WTI原油 109.65(高値122.75:6/10、安値88.53:3/15)
金先物 1834.90(高値2,085:3/8、安値1,792:5/16)
銅先物 4.0245(高値5.0395:3/7、安値3.9900:6/17)
恐怖指数(VIX)30.19(高値37.79:2/24)
Fear&Greed指数 19(EXTREME FEAR:極めて強い恐怖)
High Yield Bond (HYG)74.00(安値72.92:6/13)

 21日の米国市場は休場明けで大幅高、主要株式3指数はそろって+2%超の急反発を見せました。NYダウは構成割合トップのユナイテッドヘルスが+6.2%高で、NYダウを185ドル押し上げたほか、前週末に値崩れしたエネルギー株のシェブロンが+4.2%高と切り返し、ハイテク株もアップルが+3.3%高と大幅高でした。

 ハイテク株主体のナスダックではテスラが+9.3%高と急伸し、ナスダックだけでなくS&P500の大幅高にも大きく貢献。ほかにグーグルや半導体のエヌビディア、アプライド・マテリアルズがそれぞれ+4.3%高、+5.9%高で米FOMC後の急落から大きく買い戻されました。

 米FRBがインフレ抑制に向けて積極的な措置を講じる中、投資家は景気へのリスクを踏まえつつ株価の底値を探ろうとしている中、S&P500は今年1月の最高値から▲20%超の下落に達したことで底入れ期待の買いが相場を下支えしているとみられます。

 6月の米FOMCを通過して崩落した株価によって、米FRBが姿勢を軟化させてくれるのではないかという期待感が出始めた模様ですが、今晩の米国ではパウエルFRB議長が上院で議会証言し、明日は下院での議会証言が予定されています。ここで市場期待どおりのリップサービスが飛び出してくるようであれば上値期待が復活する一方、インフレや景気の動向から利上げする姿勢を崩さなければ失望売りとなって、相場は往って来いで再び急落する可能性があります。

 米国では景気・インフレ対策でガソリン税の一時停止措置に踏み切る可能性も浮上していますので、足元のインフレに対しては政府も金融当局もかなり神経質に捉えていると考えた方がよいでしょう。前回6/20の【米国株概況】で取り上げた新経済対策にどれほどの予算を確保できるかがかなり重要になってきます。

 とくに経済指標では、前回6/20の【先読みの近未来】(スタンダード会員以上の方対象)で詳しく解説したように、住宅関連指標の悪化が際立つようになっています。昨晩の米5月中古住宅販売戸数も年率換算で前月比3.4%減の541万戸と、コロナショック以来、約2年ぶりの低水準となりました。これは明らかに住宅価格の高騰と住宅ローン金利上昇の中で住宅市場が失速していることを示しています。

▼米中古住宅販売5月、2年ぶり低水準 価格は初の40万ドル台乗せ(2022/6/22)
https://jp.reuters.com/article/usa-economy-housing-idJPKBN2O21ET

 上記のように米国株は大型株とエネルギー株が主導して上昇しましたが、一部の銘柄によって指数が吊り上げられている状況では全体の底打ち期待はまだまだ望み薄といったところになります。株価の下落率、調整幅としては○○ショック級の水準に達してきているとの見方はできますので、あとは時間的な調整が必要とされるでしょう。調整局面は株価だけでなくチャートのタテとヨコを意識して見なければなりません。

【日本株投資戦略】
米国離れしていた日本株が再び連動性を高める、米国QT開始後の相場は波乱の幕開け、日銀緩和維持で為替ドル円は136円台に突入

 米国休場と相まって指数の日経平均やTOPIXは大きく上下に振り回されていますが、実際には20日の異様な下げを演じたところから翌21日は材料難の割には異様な上げを見せ、本来なら手控えムードのところを強引に上げ下げしている印象を受けます。

 今週に入り日経平均は25,520~26,418円とこの2日間の高安で900円の値幅が出ており、非常に弱気局面と強気局面でのコントラストに違いが際立つ相場ながら、水準観では26,000円をはさんでの攻防と言えます。

 米国株でも同様に、NYダウは17日の29,653~30,653ドルの昨日高値まで1,000ドル動いていますので、これに大きく引っ張られているとみることができます。ただし、ここ最近での日米株の連動性は薄まっていただけに、為替要因によるアドバンテージに何らかの変化が出始めたのかもしれません。ドル円は136円台に入り高値更新してきましたが、円安=株高の方程式を盲信するのは危険です。

 別の確度からテクニカル指標で日本株をみた場合、20日の騰落レシオは極端な売られ過ぎを示したほか、空売り比率が49.0%に達したこともあり、昨日はテクニカルリバウンドが発生しやすかったと言えるでしょう。ただ、指数が2%を超える上下を見せる時は市場がまだ織り込めていない材料が裏で動いている可能性が高いですので、注意しておかねばなりません。

 この月末にかけての相場では前回の【日本株投資戦略】で指摘したように下値波乱からある程度の乱高下を想定しています。しかし、この段階で日経平均が上下に900円幅のボラティリティが出てしまうということは、今後もっと大きな値動きが生じる可能性が余計に高くなります。

 ジェットコースター相場は一連のコロナ相場でも経験済みの方はいらっしゃるかもしれませんが、1日のうちに1000円超の上昇と下落を繰り返すような展開となっていっても不思議ではありません。

 とくに米国のQT本格開始に伴い市場の流動性が低下していくのはこれからですので、日を追うごとに株式市場が鉄火場のギャンブル性を帯びてくることを肝に銘じておいてください。次回の主要各国の中銀スケジュールは日銀が7/20~21、米FOMCが7/26~27、欧州ECBが7/21で、この約1か月間は米国が現行のQT政策をいわば試運転する期間です。この分ですと7月はさらに激しい乱高下に見舞われるであろうことは想像に難くないと言えるでしょう。

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