【4/28日本市場の確認ポイント】
日経平均 26847.90(+1.75%)[26,348~26,876]
TOPIX   1899.62(+2.09%)[1,862~1,901]
マザーズ 694.41(▲0.86%)[691~700]

値上がりセクターTOP5
1.鉄鋼(+4.38%)
2.鉱業(+3.84%)
3.輸送用機器(+3.65%)
4.ガラス・土石(+3.49%)
5.非鉄金属(+3.44%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲2.78%)
2.サービス(▲0.42%)
3.その他製品(▲0.34%)
4.なし
5.なし

 28日の日本市場は寄付後からじわじわと買い戻されて、終わってみればTOPIXが2%超の上昇となり大幅高。日銀金融政策決定会合で緩和維持が確認されたことに加えて、連日の指値オペを断行する日銀スタンスから黒田総裁の会見をふまえながら為替円安が進行し、日経平均も上げ幅を拡大させました。

 為替の一段と円安に振れる動きをうけて輸出関連株が動意し、自動車や鉄鋼が高かったほか素材系や資源系も軒並み切り返す動きを見せました。ここのところ株式市場との相関性が高まっている原油はじめ資源価格もリスク選好の動きと連動して上昇し、海運を除く多くの業種で幅広く買戻しの動きが広がりました。

 ただ、リスク選好地合いでも反応が鈍かったのは新興市場でマザーズ指数は決算発表を控えたメルカリ(4385)が売られるなど逆行安、徐々に企業決算が本格化を迎える中で選別色が強まっているとみられ、値ごろ感だけで手を出せるような相場ではなさそうです。

【米国株概況】
主力株決算で沈む米国株、米国売り(株安・債券安・ドル安のトリプル安)はまだ序章に過ぎない

NYダウ 32977.21(▲2.77%)[32,913~33,919]
S&P500  4131.93(▲3.63%)[4,124~4,269]
NASDAQ 12334.64(▲4.17%)[12,315~12,861]
ダウ輸送株 14865.1(▲3.00%)[14,833~15,389]
半導体SOX 2919.7(▲4.47%)[2,916~3,065]
日経平均先物(CME) 26,770(▲0.06%)[26,700~27,460]
ドル/円 129.31~130.95
米10年債利回り 2.938%(高値2.981%:4/20、安値1.668%:3/7)
WTI原油 104.11(高値130.50:3/7、安値92.93:4/11)
金先物 1896.90(高値2,078:3/8)
銅先物 4.3870(高値5.0395:3/7)
恐怖指数(VIX) 33.40(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 28
High Yield Bond (HYG)78.53(安値78.50:4/29)【安値更新】

半導体SOX指数も▲4.5%の大幅安となり投資家心理が一気に冷え込みました。NYダウは3月前半の安値に接近して33,000ドル割れとなったほか、S&P500とナスダックは年初来安値を更新し、ナスダックの4月月間パフォーマンスは▲13%超でリーマン・ショック以来の下げ幅と話題を呼んでいます。

 とくに米国株の中核をなすGAFAMの一角であるアマゾンが決算および今期見通しを嫌気されて▲14%超急落したほか、マイクロソフトも▲4.2%、アップルやグーグルも▲3.7%と軒並み売られました。半導体ではインテルが▲6.9%、エヌビディアが▲6.2%のほかAMDが▲4.6%やクアルコム▲5.7%もそれぞれ大幅反落となりました。

 米企業の決算動向はメタ(旧フェイスブック)が大幅高で好感されましたが、アマゾンの他にも動画配信のネットフリックスや金属のアルコア、半導体のインテルなど急落で話題をふりまくものが多く、決算シーズンも残すところ1週間という段階でこれまでの多くが決算後の株価低迷を余儀なくされています。

 それだけ企業業績を押し退けてマクロ環境の悪化要因が市場の重しとなっていることを反映していると言えますが、とりわけ米金融政策および金利の動向が注目されている中で今週は5/4の米FOMCおよびパウエルFRB議長の会見が重要な意味を持っています。市場では0.5%利上げの金融引き締めを警戒する向きが大勢を占めており、実際のFOMC材料を消化する段階で更なる相場下押しの圧力がかかるのか、あるいは悪材料を織り込んで買い戻されるのか試されることになります。

 市場のボラティリティが急上昇しているため慎重姿勢で臨まなければなりません。ただし、足元では中国の新型コロナ感染拡大やウクライナ危機の情勢悪化など複合的なリスクも相場に織り込まれており、これらの警戒感が一部和らぐような場面ではショートカバー(売り方の買戻し)で急反発もみられるかと思いますので、投資の初心者などはこうした場面でまだ大丈夫そうと誘い込まれがちです。相場が吹き上げる瞬間は一過性のものであると認識した上で、米国株投資家は戻り売りを徹底しながら為替がドル高の間に日本円に転換させておくのが得策と言えるでしょう。

【日本株投資戦略】
連休中の海外動向激変に惑わされず、企業決算本格化の前に徹底して行うべきこと

 前週の日本株は前半急落の反動から後半は下値テスト後の切り返しという形で往って来いとなりました。日本はゴールデンウィークに突入して休場が多くなる中、世界情勢が目まぐるしく変化するタイミングを迎えており、連休中は海外市場の動向にハラハラさせられる展開となりそうです。

 ただし、日経平均でみると4月の26,000円~28,000円のレンジを乱高下するボラタイルな相場ではあるものの、米国株のように年初来安値を更新するような動きにはなっていません。短期的な動向に一喜一憂せずに静観しながら、噴き値で売ることを徹底しておけば連休後半を安心して満喫することもできるかと思います。

 今週は本日2日と6日の立会のみですが、この間に市場イベントでは重要な米FOMCがあり、主力株の決算発表が本格化を迎えていきます。日本株のプレーヤーにとっては連休後の来週が怒涛の決算ラッシュになるため、少ない立会の中で着々とポジションを整理して決算持ち越しのリスクを低減させる姿勢が重要となります。

 先日のアドバンテスト(6857)のように驚異的な好決算を発表する場合もありますが、全体のマクロ環境が不安定な中での決算プレイは命取りになりかねません。外した時には想定以上に売られてしまったり、決算直後だけでなくその後も徹底して売り込まれて逃げ場を失うなど、取り返しがつかなくなる恐れがありますので個別株を決算またぎする際には必要最低限の株数にまで調整して決算後の動向を見極めて動くようにするのが無難でしょう。

 ここから重要になるのは海外勢の動向であることは言うまでもありません。今後の展開については【先読みの近未来】で足元の需給面を詳しく解説していくことにしますが、ポイントは為替の動向と、それによって生じている日本国内勢と海外勢との立場が優位性の違いとして大きく表れていることです。とくにこれから大きなショック安が起こった際にこの違いがより鮮明になってきます。

 最近の日本経済新聞で海外勢がこの4月に日本株を大きく買い越したと報じられていることをこれまでのように額面どおりに受け止めてしまうと、今後の相場展開を大きく見誤ってしまうことになりかねません。

▼海外投資家、日本株を4週連続買い越し 約1年4か月ぶり(2022/4/28)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2885O0Y2A420C2000000/

 前回の【日本株投資戦略】で指摘しましたように、やはり先週後半からGW前にも関わらず例年とは異なる不自然な出来高増加がみられました。また、足元のオプションマーケットでは着々と向こう3か月の下値誘導のためのポジションが積み上げられてきていますので、これが何を意図したものなのかは明らかです。4月前半の不自然に相場を吊り上げられた時と同様と考えれば分かりやすいかもしれないですね。

 したがって、どうしても目先の決算動向や海外のフェイクニュースなど表向きの材料に捉われがちになるかもしれませんが、5月前半は買いポジションの圧縮を淡々と進めていくと同時に、売りのヘッジポジション構築を並行して進めていくように心がけていきましょう。

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