【4/8日本市場の確認ポイント】
日経平均 26985.80(+0.36%)[26,764~27,185]
TOPIX   1896.79(+0.21%)[1,883~1,906]
マザーズ 792.86(+0.47%)[788~805]

値上がりセクターTOP5
1.精密機器(+1.73%)
2.情報・通信(+1.59%)
3.石油・石炭(+1.29%)
4.非鉄金属(+1.22%)
5.鉄鋼(+1.21%)

値下がりセクターTOP5
1.輸送用機器(▲2.08%)
2.倉庫・運輸(▲1.63%)
3.ゴム(▲1.28%)
4.卸売(▲1.21%)
5.空運(▲0.66%)

 8日の日本市場は米国の金融引き締めへの警戒感が燻る中で、全体にはやや下げ止まり感がみられるようになってきました。売り買いが交錯する中でTOPIXの浮動株比率見直しに伴いファンドのリバランス需要から、NTT(9432)が大きく買われる特異な現象がみられたほか、反対にトヨタ(7203)や三菱商事(8058)などが強めに売られることとなりました。

 その他、個別銘柄では大規模な自社株買いを発表したニコン(7731)が+7.5%超の急伸を見せたことや決算材料でSHIFT(3697)が2ケタ上昇を見せたことなど個別株も選別色が強まっており、とくにその傾向は今後も続くとみられます。

 米国の金利上昇がより際立つ中でこの日はグロース株も軟調にならざるを得ないのはともかく、金利敏感株の銀行株なども足元の売りに押されているのが特徴的な相場です。債券市場では米国の金融引き締めを織り込みつつ、株式市場ではその資金の受け皿になり切れていない構図が鮮明になっており、先月末の配当がらみの物色がみられた時とは傾向が違ってきていると言えます。

【米国株概況】
米債券市場における高金利環境が続きハイテク株売り、金融株は今週決算後の反応見極めが重要に

NYダウ 34721.12(+0.40%)[34,470~34,908]
S&P500  4488.28(▲0.27%)[4,474~4,520]
NASDAQ 13711.00(▲1.34%)[13,693~13,866]
ダウ輸送株 14470.7(▲0.91%)[14,381~14,648]
半導体SOX 3120.2(▲2.42%)[3,116~3,173]
日経平均先物(CME) 26,990(▲0.19%)[26,760~27,190]
ドル/円 123.66~124.21
米10年債利回り 2.704%(高値2.727%:4/8、安値1.668%:3/7)
WTI原油 98.26(高値130.50:3/7、安値93.53:3/15)
金先物 1941.60(高値2,078:3/8)
銅先物 4.7350(高値5.0395:3/7)
恐怖指数(VIX)21.16(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 48
High Yield Bond (HYG)80.24(安値79.97:3/14)

 8日の米国市場は米FRBの金融引き締め観測がより強まる形で長期金利が上昇し、連日での高値更新により米10年債利回りはとうとう2.7%台に乗せました。2018年とは経済状況が異なるとしつつも、ついにVIXショックが市場を混乱に陥れた3.0%水準も視野に入り始め、金利と株式のチキンレースが熱を帯び始めてきています。

 足元の金利上昇を背景にハイテク株が軟調に推移したほか、それよりも景気先行指標のダウ輸送株指数が弱含んでいることが気がかりということは先週も指摘したとおりです。足元ではNYダウに下げ止まる兆しがみられる反面、ナスダックは下値模索の状況が続いていることから、株式市場が一段と強気に傾くことは期待薄の地合いと言えます。

 米企業は今週から金融株の決算を皮切りに決算シーズン入りしてくるため、持ち直しのきっかけとなる期待を寄せる一方で、全体の地合い好転にはリスク指標が一段と改善してくる必要があると思われます。米金利上昇でハイテク株売りに目がいきがちですが、それと合わせてハイ・イールド市場でも再び資金逃避が鮮明になってきています。

 米国の個別株を売買している投資家にとっては、含み損を我慢して粘って決算材料で報われる場合もあるかもしれませんが、今回で米企業の業績頭打ち感が確認された場合には手酷く売られる可能性があることにも留意しておくべきでしょう。

 先週からの米FRB金融政策や重要な経済指標の発表でマクロ環境に市場の目線があるうちは警戒感から手控えムードも強いため、かえってボラティリティは抑えられる傾向があるかもしれません。しかし、週後半からは企業決算に目線が移り、企業のミクロ環境面に意識が向けられた際には否が応でもポジション調整に迫られるため、ボラティリティが復活してくることになります。

 主要な株式指数自体はGAFAMなどビッグテックの動向に左右されつつ、戻りを試す動きがみられるかもしれません。しかしながら、現在の金利水準を鑑みれば次に上昇から下落に転じた時のインパクトは大きくなる可能性が高いですので、決算期待でふわふわと上昇してくるような場面ではしっかりと手仕舞い売りを意識しておいた方が賢明と言えるでしょう。

【日本株投資戦略】
今週の反発期待は週半ばから、地合い好転が見込めそうにない時は見切り売りも

 日本市場はとくに週前半においては海外市場の動向を見守りつつ、売り買いが交錯しやすい地合いが継続するとみられます。米国では金融引き締め観測が金利上昇という形で株式市場にとっても重しとなっており、前週末はこれを受けて金融株が買われたものの今週はこのセクターに決算材料が提供されます。仮に金融株の比率が高いNYダウが一段と戻りを強めた場合でも、ハイテク株が売られいる状況では市場のリスクオン転換は見込みづらいと言えます。

 その一方で、金融株が決算発表を機に利益確定売りの動きが強まるような場合には市場全体で軟化傾向を示す可能性が高くなり、その後に発表される企業決算に対する見方も弱気派が優勢となって利益確定売りの材料とされかねないため注意が必要になります。

 日本株も足元の円安基調が今のところ相場の下支え要因として機能してきた面はありますが、先週の動きでは恩恵の大きい自動車株の値崩れが目立つようになってきたほか、外需産業の景気敏感株も総じて軟調に推移している状況です。前回も指摘したとおり、ここから半導体関連株が一段安になるようですと、市場の循環物色は期待薄となります。

 その場合、日本企業が決算シーズン入りする前に下値を大きく掘り下げてから決算発表を迎えることになりますので、今週はとくに週後半における半導体株、リスク性の高いハイテク株や新興株の動向に目を光らせておく必要があるものと思われます。

 もしここで市場が悪材料よりも好材料に素直に反応するような地合いが確認できれば、来週にかけての相場は決算期待を膨らませる形で底上げムードが強まるものと思われます。ただし、決算シーズンの個別株は上述したニコン(7731)のように好材料発表があれば上伸する可能性がある一方で、手がかり薄の場合は容赦ない売り圧力にさらされやすくなる場面でもあるため決算発表の1週間前になっても動きが乏しい場合には一旦見切りをつけて手仕舞い売りを検討するようにしましょう。

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