【3/6日本市場の確認ポイント】
日経平均 25985.47(▲2.23%)[25,774~26,421]
TOPIX 1844.94(▲1.96%)[1,836~1,872]
東証2部 7078.42(▲1.09%)[7,056~7,145]
JASDAQ 3555.84(▲1.01%)[3,547~3,583]
マザーズ 724.65(▲4.13%)[712~745]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+1.79%)
2.石油・石炭(+0.09%)
3.なし
4.なし
5.なし
値下がりセクターTOP5
1.ガラス・土石(▲4.34%)
2.輸送用機器(▲3.98%)
3.非鉄金属(▲2.99%)
4.化学(▲2.60%)
5.金属製品(▲2.57%)
4日の日本市場は東証1部の騰落銘柄数が値上がり210/値下がり1929となり、ほぼ全面安商状となりました。ロシアによるウクライナ原発施設攻撃のヘッドラインが飛び込んできたで下げ幅を拡大し、日経平均は一時▲800円安まで売り込まれる場面がみられたほか、TOPIXも▲2%超、マザーズも▲5%超の大幅安となるなど急速にリスクオフが進みました。
市場全体に対して逆行高を演じたのは海運大手3社のほか三菱重工(7011)など防衛関連株の一角、ウクライナ侵攻に伴う商品高をうけた石油・石炭関連をはじめとする市況関連株などでした。いずれもバリュー系の一部であるものの、単純にバリュー株買いという図式ではなく、自動車関連は部品・素材株含めてロシア事業停止観測などから総崩れとなりました。グロース系も総じて嫌気されており、半導体関連株が軒並み大幅安したほか、情報・通信や新興株も多く値崩れが目立ちました。
元より米国の3月FOMCで0.25%利上げに留まる期待を含めた戻り相場の中でリスク指標が警戒感を示していただけに相場の脆さを露呈した形と言えます。戻り歩調が一服し週末の買い手控えムードのところに地政学リスクが炸裂したことにより、投資家の戻り売りや狼狽売りを誘発しやすかったものとみられます。
【米国株概況】
ウクライナ情勢よりも深刻なスタグフレーション懸念が萌芽、米国はドル覇権の衰退とともに大きな試練に直面
NYダウ 33614.80(▲0.53%)[33,254~33,655]
S&P500 4328.87(▲0.79%)[4,284~4,342]
NASDAQ 13313.44(▲1.66%)[13,224~13,486]
ダウ輸送株 15392.4(▲0.07%)[15,185~15,429]
半導体SOX 3258.9(▲2.42%)[3,220~3,337]
日経平均先物(CME) 25,870(▲0.88%)[25,720~26,440]
ドル/円 114.65~115.54
米10年債利回り 1.722%(高値2.062%:2/11、安値1.683%:3/1)
WTI原油 115.03(高値116.57:3/3、安値105.18:3/2)
金先物 1974.30(高値1976.50:2/24)
銅先物 4.9175
恐怖指数(VIX)31.98(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 17
High Yield Bond (HYG)82.54(安値82.52:2/14)
4日の米国市場は2月雇用統計をうけて実体経済の力強さを確認できたものの、日欧時間でのロシア軍によるウクライナ侵攻の情勢悪化をうけて商品市況が急伸したインフレ懸念や景気の先行き懸念などが重しとなり、主要株式指数はいずれも続落の動きとなりました。また、労働市場では賃金の上昇が限られたものとなっており、足元では実質金利の上昇が景気下振れの要因となる可能性も出始めてきたと言えます。
この週末には対ロシア制裁の一環で各国政府だけでなく米大手企業もこれに加担する動きが広がるとの見方も強まっており、ロシア事業停止を表明する企業が続出しています。株式市場でも米IT大手やカード決済のVISA、AMEX、小売のNIKEなども強い売りに押されたほか、GSやJPモルガンなどはジャンク級となったロシア債券を買い漁っているとの報道もあり、強く非難を集める中で足元の株価は下落しているものの、有事を千載一遇の収益機会と捉える抜け目の無さには目を見張るものがあります。
話題沸騰となっている商品市況では原油価格が再び1バレル=115ドル台に急伸、金(ゴールド)・銀(シルバー)・プラチナ・パラジウムなど貴金属も軒並み大幅上昇し、穀物も小麦や砂糖などが急騰を演じています。供給制約から需給懸念が強まっている中でのウクライナ危機が商品高に拍車をかけている構図は危機収束後も続くとの見方も強める結果となり、商品市場は投機的なマネーゲームの様相と化してきています。これらコストアップ要因を後々は消費者への価格転嫁することは明白で、かつて中央銀行がインフレは一時的と表現していた見方では済まされなくなってきました。
一般の世論はウクライナ情勢に視線が釘付けになって反戦デモなどが広がりを見せる中、実体経済を蝕むインフレ基調はより強まっていく中で、米株市場にとっても地政学リスク以上にスタグフレーションリスクを抱え込んでしまっていることを強く認識する必要があります。ウクライナ危機はまもなく収束へと向かうにしても、米株市場にとっては一時的な緊張緩和から反発した後にそれ以上のショック安に見舞われるリスクを内包していると言えます。
【日本株投資戦略】
ウクライナ危機収束後を見越して投資戦略の練り直しを迫られる時期、反転時期近づくもまだしばらくは警戒必須
4日の日本市場はウクライナ情勢の地政学要因により欧米株に先駆けて大幅安となりました。ロシアによるウクライナ侵攻は軍事施設、原発施設、化学研究施設など次々に制圧が進み、欧米メディアがロシア軍苦戦と伝えるのとは裏腹に、重要拠点を抑え込んだロシア軍は主要都市のみを残して降伏勧告を迫る段階にきています。
本日7日にロシア-ウクライナ間での3回目となる停戦協議が予定されていますが、米国がポーランド経由で戦闘機などを供与するニュースが流れてくるあたり、ウクライナ政権はまだしばらく抵抗するものとみられ、それでなくとも西側諸国は旧式の軍事兵器の在庫処分で戦争を続けたがるのは必至でしょう。
ただし、当該戦争の構図としてはウクライナ正規軍というよりイスラエルに訓練をうけた極右勢力がロシア軍に攻撃を仕掛けてロシア軍がこれに応戦、原発攻撃も自作自演で行っている側面が強く、欧米メディアから流れてくる情報と現地で実際に起こっている現状とでは大きく食い違っている面が多々あります。直近でイスラエルが仲介に乗り出したとの報道も出始めたことから、軍事戦争としてのウクライナ危機はあと2週間程度で終息へと向かうでしょう。
日本株はこれら地政学リスクで先物主導で売られている面が強いですが、ウクライナ情勢の緊張が緩和すれば先物の買戻しでまた反発に転じる場面はみられるものと思われます。ただし、今週末のメジャーSQを通過した後で全体出直りを見せたとしても個別株では裁定解消に伴う売り圧力がかかる可能性が残り、アク抜けにはまだしばらく時間がかかるとみておく必要があるものと思われます。よって、前回の投資戦略で解説しましたように、今週は押し目買い好機となる場面がみられるかと思いますが、高ボラティリティでの一進一退を想定しておく必要があるでしょう。中途半端な位置での買いや目先の反発に追従して深追いすることはとくに禁物です。
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