【3/3日本市場の確認ポイント】
日経平均 26577.27(+0.70%)[26,496~26,704]
TOPIX 1881.80(+1.18%)[1,876~1,889]
東証2部 7156.17(+0.07%)[7,153~7,205]
JASDAQ 3591.97(▲0.03%)[3,586~3,605]
マザーズ 755.86(▲1.71%)[752~784]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+5.30%)
2.石油・石炭(+3.76%)
3.銀行(+3.37%)
4.保険(+3.00%)
5.非鉄金属(+2.93%)
値下がりセクターTOP5
1.情報・通信(▲0.11%)
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし
3日の日本市場は東証1部の騰落銘柄数が値上がり1424/値下がり667となり、セクター別にはほぼ全面高商状でした。ただし、物色には大きくバラつきがみられ海運株や資源株などに買いが集中したほか、米長期金利上昇をうけた銀行や保険など金融株が大幅高しました。
新興株やグロース株の逆行安や上昇反応が鈍かったのは米国金利上昇によるものとみられ、これはパウエル米FRB議長の議会証言での3月利上げが予定どおりに行われる見通しであることを確認してのものです。ウクライナ情勢の緊迫化をうけて以前の50bp引き上げ観測から25bp引き上げにややハト化した点も市場全体にとっての安心感につながった模様。
足元で急伸してきたマザーズや小型株の上昇が打ち止めになった点には要注意と言え、元より短期売買が中心とみられるにしても投資マインドの改善といった点では大きな意味を持ちます。世界情勢の変化はめまぐるしく、投資家のリスク選好度が急低下するような場合には底打ち反転したかにみえても再び底割れしてくる危険も孕んでいます。
【米国株概況】
米FRB利上げペースの緩和観測が相場下支え、リスク指標は未だ警戒シグナルで薄氷の相場であることを認識
NYダウ 33794.66(▲0.29%)[33,641~33,179]
S&P500 4363.49(▲0.53%)[4,345~4,416]
NASDAQ 13537.94(▲1.56%)[13,472~13,837]
ダウ輸送株 15403.4(▲0.06%)[15,339~15,646]
半導体SOX 3339.8(▲2.24%)[3,322~3,425]
日経平均先物(CME) 26,400(▲0.67%)[26,285~26,730]
ドル/円 115.38~115.80
米10年債利回り 1.839%(高値2.062%:2/11、安値1.683%:3/1)
WTI原油 107.96(高値111.41:3/2、安値105.88:3/2)
金先物 1936.30(高値1976.20:2/24)
銅先物 4.7877
恐怖指数(VIX)30.48(37.79:2/24)
Fear&Greed指数 22
High Yield Bond (HYG)83.08(安値82.52:2/14)
3日の米国市場は主要3指数がそろって下落、ただしウクライナ情勢の不透明感が依然として燻る中、欧州株の大幅安をうけながら乱高下しながらも比較的底堅い印象を受けます。前日のパウエル米FRB議長が議会証言で3月FOMCでは25bp利上げが妥当との見通しを示したことが相場を下支えしている可能性がありそうです。
しかし、見方を変えれば3月中旬のFOMCで拙速な利上げペースが見直されるポジティブサプライズを前倒しで織り込む形となったともいえ、ウクライナ情勢をにらみながら一旦ハト化したかに見える金融当局が、終わりの見えないインフレ退治を名目にいつタカ派姿勢に転じてくるかといった不安要因を抱えることになりました。
一方でそのインフレを象徴する商品市況は乱高下すさまじく、WTI原油先物価格は一時116台に急伸したのち106ドル台まで暴落、金先物は小じっかり、その他貴金属類や穀物などは大幅高している状況にあります。原油をめぐっては各国政府の原油高対策のほか一部では米イラン核合意協議に進展がみられるなどの観測報道、米国がひそかに石油大手に増産指示を出したことなど供給懸念が緩和する材料が出始めました。
相場全体では混沌化するウクライナ情勢をにらみながらなんとか平静を保っているといった状況で、次にまたリスク要因が炸裂した場合には脆く崩落しかねない薄氷の相場が続いていると言えます。先月末のロシアによるウクライナ侵攻開始で底入れした後の急反発は相場の教科書どおりの動きとなりました。しかし、インフレ高進下での波乱相場はボラティリティも大きく、リスク指標はいずれも未だ警戒信号を発し続けていることには注意が必要でしょう。
【日本株投資戦略】
まずは足元での利益確定をしっかりと、来週は押し目買い好機演出の可能性あり
4日の日本市場は欧米株の軟調地合いをうけて前日の好地合いを保てるかが焦点となりそうです。懸案のウクライナ情勢においてはまがりなりにもロシアとウクライナ間での停戦交渉が民間人を避難させることに合意し、問題収束はまだ先になりそうであるものの話し合いの場が用意されていることは、いずれは危機が収束する道筋があることを示すものでもあります。
目先はウクライナ情勢含め米国市場の動向が気になるところで、買い手控えムードがしばらく続きそうであるほか、国内においても皆忘れかけている新型コロナ対策のまん延防止重点措置が元々6日期限であったものが18都道府県で21日まで延長されており、相場としても転換日として意識しておくべき日柄となってきます。
来週はとくに米国市場が揺らぐような場合に日本市場が追従して下落するのか、あるいは持ち堪えて日米株価のスプレッドが縮小へと向かうのか全体像の把握をする点で非常に重要となってくるでしょう。もし底堅さを見せるようであればウクライナ危機などの影響が軽微な日本市場には一旦マネーの逃避先としての側面も際立ってくる可能性があります。
ただ、その一方で前回も指摘しましたように彼岸底は意識しておく必要があり、再来週にはまた手仕舞いしてリスク要因への備えも両にらみで行っていく臨機応変さが求められるでしょう。今週初めから何度も繰り返すように言っていますが、足元での利益はしっかりと確定させておきながら、来週の押し目買い好機を狙っていくようにしましょう。ただし、2月末のように大きくポジションを張ることは危険が伴いますので、多少拾うにしても前回よりも過小に留めるようにした方が無難です。本格買いするのであればウクライナ危機が終息への道を示す可能性がある3月末まで待つべきです。
※スタンダード会員へご登録いただくと、1.今後のマーケットについても展望する【先読みの近未来】、2.日々の≪重要ニューストピック≫を厳選して深堀りする【揺れ動く世界情勢の解説】などを加えた内容充実のメールマガジンをお届けします。