【2/15日本市場の確認ポイント】
日経平均 26865.19(▲0.79%)[26,724~27,205]
TOPIX 1914.70(▲0.83%)[1,906~1,934]
東証2部 7175.69(▲0.74%)[7,167~7,236]
JASDAQ 3596.13(▲1.19%)[3,593~3,634]
マザーズ 726.45(▲1.85%)[724~741]
値上がりセクターTOP5
1.ゴム(+2.01%)
2.小売(+1.05%)
3.食料品(+0.70%)
4.倉庫・運輸(0.67%)
5.農林・水産(+0.45%)
値下がりセクターTOP5
1.サービス(▲4.19%)
2.保険(▲3.45%)
3.鉱業(▲3.17%)
4.空運(▲2.69%)
5.銀行(▲2.09%)
15日の日本市場はウクライナ情勢に振り回された海外市場をうけて手控えムード漂う中、断続的な売り圧力にさらされながら前場は日経平均27,000円付近でもみ合い、後場は力尽きて前日比▲300円近く下げる場面がありました。
資金の退避場所となっていたバリュー株も売られる展開となり、セクター別にみてもディフェンシブ系が上位を占めるのみで、銀行や保険といった金融株、鉄鋼や非鉄金属といったインフレに強い景気敏感株も値を崩しました。極端に下げが目立ったのは決算が嫌気されたクボタ(6326)とリクルート(6098)で2ケタの大幅下落、米金利上昇で買われてきたMS&AD(8725)やSOMPO(8630)もそれぞれ▲5%近く売られています。
一方、強含んだのは内需系で旧日本通運からホールディングス名に衣替えしたNXホールディングス(9147)、電通(4324)、キリン(2503)などで決算を手がかりに見直し買いを呼び込んだほか、足元で大きく売られたブリヂストン(5108)やキーエンス(6861)なども全体に逆行して反発をみせました。自動車株もトヨタは続落の一方で、決算後で再評価されているいすゞ(7202)やホンダ(7267)も比較的堅調な動きをみせました。
【米国株概況】
地政学リスクやや後退で主要株式指数は一斉に買戻される動き、一方で長期金利は2%超えの高止まり、今晩のFOMC議事録公表に注目
NYダウ 34988.84(+1.22%)[34,686~35,047]
S&P500 4471.07(+1.58%)[4,429~4,472]
NASDAQ 14139.76(+2.53%)[13,976~14,142]
ダウ輸送株 15213.1(+0.62%)[15,142~15,321]
半導体SOX 3554.5(+5.47%)[3,433~3,559]
日経平均先物(CME) 27,445(+2.25%)[26,700~27,450]
ドル/円 115.26~115.87
米10年債利回り 2.047%(一時2.062%:2/11)
WTI原油 92.15(一時95.82:2/14)
金先物 1853.65
銅先物 4.5332
恐怖指数(VIX)25.70(一時30.99:2/11)
Fear&Greed指数 37
High Yield Bond (HYG)82.66(一時82.52:2/14)
15日の米国市場は緊迫化していたウクライナ情勢において、軍事演習を終えたロシア軍の一
部部隊が撤収しつつあることが伝わり、警戒感が後退したことで株式市場は一斉高、債券市場では長期金利が上昇、短期金利は低下、原油WTI先物は急落しました。
ロシア-ウクライナの緊張緩和により上記市場ではそれぞれ地政学材料を消化する動きとなった一方、為替市場では米ドルはなお小高い水準を維持しており、まだ情報が錯綜している段階とみられているのかもしれません。ロシアは軍撤収を発表しながら今後も状況次第で緊張状態を解く姿勢でウクライナ東部における独立支援および政治的解決を望んでいるのに対し、NATOおよび英米は戦争をしかけたい側でこれに紐づくメディアもロシアのウクライナ侵攻の可能性を残していると報道しています。大陸系欧州勢はエネルギー問題を抱えており、安易に英米に付き従うことが困難な経済事情を抱えていることから若干トーンを下げてロシアとの外交努力を続ける姿勢を示しています。
メディアの一部バイアスがかかった報道はノイズとして、市場全体では地政学リスクの緊張感が和らいだことを歓迎して売り方が一斉に買い戻す動きとなっています。主要株式指数はそろって反発し、とくにSOX指数は+5.5%と急伸。半導体株が大幅反発する中、インテルによる同業買収のニュースもあったほか、ハイテク株がテスラ含め一斉に買い戻されたことでナスダックも+2%超の上昇となっています。
ひとまず地政学リスクに関しては過度な警戒感は和らぎつつあり、昨日の解説でも指摘のとおり原油価格にまず変調の兆しが生じ始めました。今後の状況は需給面の逼迫もある中で中国などは2月初めより石油備蓄の放出を開始していますので、一進一退となりながら原油価格は地政学リスクを横目に短期的な調整局面に入るとみられます。もしそうなれば、足元のインフレ懸念に対しても過度な警戒感は多少和らぐことで金融当局の引き締め観測も一定のトーンダウンが期待できるかもしれません。
【日本株投資戦略】
海外市場でウクライナ緊張緩和による大幅反発をうけて日経先物は600円高、原油価格急落でインフレの過度な警戒感が和らぐかを注視
ひとまずウクライナ情勢に緊張緩和の兆しが確認できたことを手がかりに海外市場は大きく反発し、日経先物も時間外で+2%超上昇して引けています。売り方のショートカバーによる反発の側面が大きいことは否めないですが、今週中にウクライナ問題に一定の進展がみられるようであれば一段高で先週の下落前水準を回復できるところまで期待できる可能性があるでしょう。
ただし、その一方で米国金利は高止まりしている状況ですので、上値は限定的となりやすいことを念頭に置いておく必要があります。本日は今晩にFOMC議事録公表が控えていますので、地政学材料で「戦争=買い」で押し目買いした買い方は利益確定に動くとみられます。もし金融当局の利上げ姿勢が直近の報道でみられた積極的なタカ派よりも冷静に段階的な利上げを示唆する程度のものであれば、こちらも過度な警戒感が薄れて株式市場の戻りを試す動きを後押しするものと思われます。
地政学リスクに関しては上記の米国株解説でも解説のとおり、各国それぞれの立場に違いがあり、ヘッドラインは英米-大陸系欧州-ロシアと三極から流されますので、これに地合いが振り回されやすい環境はしばらく継続するとみておいた方がよいでしょう。
その中で、目先最大の注目点はまず地政学リスクによって吊り上げられた原油市場の動向、さらに供給制約に起因するインフレ動向で金融当局の姿勢に変化がみられるか、それによって米国金利が多少落ち着いて上昇のペースが緩むかどうか、最終的に有事のドル買いも加わって強含んでいる米ドルに対し為替市場でドルインデックスが下落に転じるかどうかが焦点となります。
ちなみに金利上昇に関しては、株式市場においてハイテク株売り要因として嫌気されますが、必ずしも悪材料というわけではありません。長短金利差が景気の実態に適正な水準を維持し、緩やかに上昇していく分には問題ありません。市場ノイズによって急騰急落が最悪な動きですので、今後も直近の高値、安値の水準はつねにチェックしておくようにした方がよいでしょう。
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