イチから考えるお金のこと
-入門編⑨-
第9回のまねまねコラムはお金について考え始める際、入門編⑨として具体的にどんなことから考えていくのが良いのか、初めに知っておくべきことは何なのかについて述べていこうと思います。
前回は「石油と米ドルの関係、1980年後半ブラックマンデーと日本の平成バブル」について、1970年代におけるドルショック後の世界が新たな金融秩序の下で基軸通貨の米ドルと石油の関係性が深まっていく過程や2度のオイルショックについて、さらに1980年代に入り変動為替相場への移行からもたらされた米国の苦難、そしてプラザ合意へと持ち込まれる日本、その後の平成バブルへと突き進んでいったお金の歴史をみていきました。
1980年代後半の世界経済はまさに「日本とそれ以外に分かれた」といっても過言ではないほど、“ジャパン・アズ・ナンバーワン”として日本の国際的評価が高まった時代だったと言えますが、そこから一転、バブルの崩壊とともに徹底的に貶められた日本はその後『失われた30年』と揶揄されてしまうような低迷期を迎えました。これは現代まで続く“深刻なデフレの病”へと陥った日本が長らく抱えてきた課題でもあり、ここからいかなる展開によって再浮上するのかが問われて久しかったわけです。
しかし、世界中でインフレのマグマが噴出し始めている今この瞬間において、日本が『失われた30年』を歩んできた真の意味が表れてくるのは時間の問題と言えます。まさに世界がこれから“極端なインフレの病”に見舞われる中で、日本だけが宿願のデフレを脱却し世界で唯一の正常化した経済の道を歩む特異な存在として浮かび上がってこようとしています。
日本のバブル崩壊と『失われた30年』
日本のバブルに関する研究はこれまでに様々な角度から研究が積み上げられ、先進国の欧米諸国はもちろん中国はじめ2000年代以降で台頭してきた新興国にいたるまで、戦後の現代日本が奇跡的な経済成長を遂げた後、完膚なきまでに崩壊するに至った本当の理由を探してきました。
そもそもバブルがなぜ起こり崩壊していくのか、金融資本主義の下でのバブル発生メカニズムを知っておくことは非常に重要なことだと思います。それは一見景気の実体とはかけ離れたところで発生し、一般の人々でその絶大な恩恵に与れるのは一部の人のみに限...
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