【1/21日本市場の確認ポイント】
日経平均 27522.26(▲0.90%)[27,129~27,586]
TOPIX 1927.18(▲0.59%)[1,899~1,930]
東証2部 7264.14(▲0.63%)[7,225~7,276]
JASDAQ 3664.02(▲0.58%)[3,646~3,668]
マザーズ 812.76(▲1.48%)[799~812]
値上がりセクターTOP5
1.空運(+3.84%)
2.陸運(+1.54%)
3.電気・ガス(+1.34%)
4.食料品(+1.08%)
5.ゴム(+1.06%)
値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲5.45%)
2.輸送用機器(▲2.07%)
3.石油・石炭(▲1.74%)
4.電気機器(▲1.61%)
5.海運(▲1.33%)
21日の日本株は前日の米国株安地合いをうけて軟調の展開、ハイテク株中心に指数を押し下げたほか、円高逆風で自動車株や原油価格の上昇一服をうけた鉱業株に利益確定売りが広がりました。
セクター別には鉱業が値下がりトップ、原油価格の上昇が一服しWTIは83ドル割れまで低下したことをうけてINPEX(1605)が急落、続いて輸送用機器が値下がり2位で、トヨタ(7203)の▲2.5%はじめジェイテクト(6473)が▲4.6%で自動車株は部品会社に至るまで全般に利益確定売りの動きが強まりました。
その他に個別で大きく下げが目立ったのは米SOX指数の大幅安をうけた半導体関連株で、東京エレクトロン(8035)が▲6.2%、アドバンテスト(6857)が▲4.0%とそれぞれ値を崩したほか、SCREEN(7735)も▲5.4%、太陽誘電(6976)も▲3.6%でいずれも直近の新安値更新で下値を掘り下げました。
総じて軟調な展開続きに需給面の悪化が著しく、TOPIXは一時1900ポイント割れとなり菅前首相の退陣が発表された水準まで押し戻されてしまいました。その中で逆行高が目立ったのは軍需・防衛関連株の一角で、石川製作所(6208)や細谷火工(4274)が急伸したことなどから、足元では米国の金融政策正常化に向けた神経質な動きに加えて、地政学リスクの高まりを映した相場になっていることが窺えます。
【米国株概況】
ハイテク株安連鎖でS&P500とうとう200日線割れ、米国株神話崩壊とともにコロナ・ショック2.0の足音近づく
NYダウ 34265.37(▲1.30%)[34,229~34,896]
S&P500 4397.94(▲1.89%)[4,395~4,494]
NASDAQ 13768.92(▲2.72%)[13,764~14,171]
ダウ輸送株 15247.3(▲1.77%)[15,212~15,574]
半導体SOX 3434.8(▲1.72%)[3,429~3,567]
日経平均先物(CME) 27,225(▲1.07%)[27,110~27,685]
ドル/円 113.61~114.15
米10年債利回り 1.760%
WTI原油 85.00
金先物 1834.00
銅先物 4.5232
恐怖指数(VIX)28.85
Fear&Greed指数 43
High Yield Bond 85.44
21日の米国市場はナスダックが▲2.7%の大幅安に象徴されるようにハイテク株が総じて軟調な展開で、前回の底割れをお伝えしたところからさらに下値を模索する動きが加速しています。ナスダックの週間パフォーマンスは▲7.55%の大幅安は2020年以来の記録でコロナ・ショックを想起させる大きな下げとなっています。
個別では決算が嫌気された米ネットフリックスが▲20%超の大幅安を演じたことで、その他の動画ストリーミングサービスを展開する米ウォルト・ディズニーが▲6.9%、米アマゾンも▲6.0%と売り圧力の連鎖が波及していき、他にも米テスラや大手SNSの米メタ、米ツイッター、米スナップチャットなどもそれぞれ大幅安でした。これらハイテク株は52週移動平均線を割り込み、需給面とテクニカルの悪化からさらに売り圧力が強まりやすくなっています。
前回指摘した米国離れは米国株式市場だけでなく債券市場においても中国が米国債売りに傾いていることからも明らかとなりました。中国も景気減速対応から国外への資本流出を抑えつつ、米ドル確保に奔走しなければならない事情があるように思います。よって、いずれ流動性危機が表面化してきた際に米国売り(株安・債券安・ドル安)が現実味を帯びてくるものと思われますので、これまでの米国依存からいち早く脱却できるかが投資家の明暗を分けるものとなってくるでしょう。
▼米金利に上昇圧力 中国、「米国債離れ」で需給悪化も(2022/1/19)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN230L60T21C21A2000000/
【日本株投資戦略】
米国の金融政策正常化に加えて地政学リスクの高まりにも警戒感、断続的な売り圧力続く
前週の日本市場は外部環境の著しい悪化に伴いリスク回避の動きが鮮明となりました。米国が金融政策正常化へ向けた動きを見せ始めたことで、これまで特段材料視してこなかったリスクなどにも神経質になり、昨年11月末~12月初めの安値水準を割り込みました。
バリュー株のリターンリバーサルも一巡したところで、改めてグロース株が値幅を伴った大きな下げに見舞われ、指数を下支えする存在が乏しいことを浮き彫りにしました。足元で決算通過したファーストリテイリング(9983)が気を吐いて逆行高しましたが、全体が地盤沈下する影響はそれ以上に大きく、マザーズ指数に続いて日経平均・TOPIXともに底割れの動きとなりました。
今週はこれまで話題の中心となってきた米国の金融政策を左右する米FOMCが1/25-1/26の日程で開催されることから、週前半は否が応でもこれを警戒した荒々しい展開が続くと予想されます。しかし、日本市場ではにわかに軍需関連銘柄の物色が目立ち始めたことにより、織り込みの進んだ米金融政策よりも地政学リスクに目を向け始めた可能性があります。
海外勢が下値攻めしやすい悪材料には事欠かない現状において、皆がすでに警戒している米FRBのガイダンスリスクよりも、警戒が薄らいでいる地政学リスクが緊迫化する方が新規売りを呼び込みやすい環境と言えます。前回は米FOMCを通過するまで様子見を促してきましたが、市場急落の要因が別にあったとすれば焦点は地政学リスクの悪材料出尽くしになります。
近々、東欧や中東、そして東アジアのどこかで現在の均衡が崩れるような話が伝われば株価も一気に動いてくる可能性があります。基本的に「戦争は買い」ですから、今週はこうしたニュースに目を光らせながら下方リスクを意識して深めに下値を狙った指値を置いて突発的な売り圧力を待ち構えるスタンスが有効と言えるかもしれません。
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