【1/20日本市場の確認ポイント】
日経平均 27772.93(+1.11%)[27,217~27,882]
TOPIX 1938.53(+0.98%)[1,908~1,945]
東証2部 7310.39(+0.12%)[7,268~7,328]
JASDAQ 3685.50(+0.51%)[3,655~3,688]
マザーズ 825.00(+2.11%)[797~828]
値上がりセクターTOP5
1.精密機器(+2.35%)
2.サービス(+2.13%)
3.その他製品(+1.87%)
4.食料品(+1.63%)
5.卸売(+1.48%)
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲3.75%)
2.保険(▲1.69%)
3.鉱業(▲1.00%)
4.銀行(▲0.80%)
5.石油・石炭(▲0.71%)
20日の日本市場は前日の一時▲900円超となった大幅安からの反動でテクニカルリバウンド、短期的な売られ過ぎから買い戻されました。朝方には日経平均が一時27,217円をつけて前日の安値を割り込みましたが、売り一巡後は徐々に値を戻す動きとなりました。
決算発表後から出直り基調にあるファーストリテイリング(9983)のほか、前日▲12%超の急落を演じたソニー(6758)が+6%近く反発して半値戻ししたことなど、直近で大きく売られた銘柄の買戻しが中心でした。反発が大きかったのは相対的にグロース優位でしたが、半導体関連株は続落となりました。
東証一部の騰落銘柄数は1559/値下がり539で、1/12以来の値上がり銘柄数1,000超えとなりましたが、この日に至るまでの5営業日が値下がり銘柄数で平均1,600近くをマークし続けたことにより騰落レシオ(6日)は48.32まで低下しています。短期的には売られ過ぎを示しますが、ボラティリティが依然として高止まりしているため、アク抜けには至っておりません。
マザーズ指数は昨年5月以来の安値800ポイント割れとなりましたが、久しぶりに+2%超の反発を見せました。ただ、25日移動平均線からのマイナス乖離が▲15%に迫るなど需給悪化が顕著であり、テクニカルリバウンドが期待される局面ですが戻り売り圧力も相応に強いでしょう。
【米国株概況】
朝方に反発を強めるも終盤にかけて値崩れしNYダウは5日続落、S&P500・ナスダックはそれぞれ重要な節目を割り込んで底割れ
NYダウ 34715.39(▲0.89%)[34,672~35,489]
S&P500 4482.73(▲1.10%)[4,478~4,602]
NASDAQ 14154.02(▲1.30%)[14,141~14,641]
ダウ輸送株 15521.6(▲0.43%)[15,510~15,895]
半導体SOX 3494.8(▲3.25%)[3,493~3,666]
日経平均先物(CME) 27,500(▲1.04%)[27,190~27,940]
ドル/円 113.96~114.54
米10年債利回り 1.808%
WTI原油 84.48
金先物 1839.60
銅先物 4.5312
恐怖指数(VIX)25.59
Fear&Greed指数 52
High Yield Bond 85.67
20日の米国市場は主要3指数続落の動きとなり、NYダウは5日続落のほかナスダック、S&P500はそれぞれ3日続落となりました。ナスダックは昨年10月の安値更新で最も下落が厳しく、S&P500も昨年12月の安値を割り込んで引けました。米国株は下値模索が続く中で調整局面入りの引き金となった米長期金利は債券が再び買われ出して1.8%まで低下してきています。
個別株では直近の決算発表をうけて急落した金融株が売り一巡で下げ止まる動きをみせた一方、半導体関連株が総じて軟調な展開で景気敏感株も売られています。長期金利の上昇にはやや一服感がみられたとはいえ、押し目買いが入っても勢いが続かないということは市場の需給が相当に悪化している状況を示しています。
米国株の市場環境は昨年までとは全く異なる景色になっていることは明らかで、急落しても押し目買いをしておけば助かるといった状況ではもはやなくなっています。バイデン大統領の支持率も就任以来最低を記録したと伝えられ、いよいよ米国離れが加速する局面に突入したと言えます。
長期金利が上昇しやすい環境下で米国株は総じてバリュエーションが高く、直近の金融株決算で足元の業績はたとえ好調でも将来の人件費増が懸念されて売られています。インフレによるコストアップで企業収益を悪化させることが嫌気して売られるのであれば、今後ますますインフレが進むと見込まれる中で調整が一過性のものでは済まなくなってきます。金融当局も当初はインフレを「一時的」なものとみなしていましたが、今や「一時的」という表現は削除しています。米国株の調整局面が長期化する懸念とともに、しつこくつきまとうインフレとの闘いに入ったと言えるでしょう。
【日本株投資戦略】
昨日は日経300円高で大幅反発も時間外では米国株安に引っ張られて急落、来週の米FOMC通過まで様子見が賢明か
日経平均は直近の安値を更新して昨年8月以来の27,000円割れが懸念される動きでしたが、辛うじて底割れを回避しました。ソニー(6758)の大幅反発だけでなく、リクルート(6098)やエムスリー(2413)など非製造系のグロース株の見直し買いも強まったことが印象的です。いったんは成長株全般に売り出尽くし感も出てきたということかと思います。
一方で、海運株が総じて大幅安となったほか、製造系グロースの半導体株は続落の動きを見せており、利益確定の流れが止まりません。足元で急激に軟化し始めたバリュー株に対して上記のグロース株を見直し買いする動きから推測できるのは市場内で買える銘柄が少なくなっている証拠です。日経平均などの指数はこうしたグロース株の短期リバウンドに引っ張られる形で一時的に持ち上げられる可能性はありますが、全体の地合い改善を望むには28,000円台を回復するなどもう一段の戻りが必要になるでしょう。
日経平均は1/18高値28,690円から昨日の安値27,217円まで約▲1,500円幅で下落しましたから、短期的なリバウンドとしても半値戻しで28,000円手前の水準になります。時間外の先物では27,940円まで戻りを試しましたが、米国市場の軟化と連動して再び27,500円を割り込む動きを見せています。仮にザラ場中で短期リバウンド狙いの押し目買いをするにしてもその日中に手仕舞いするのが無難と言えるでしょう。
地合いの反転にはもう一段の戻りが必要とされる中で、押し目買いが入っても終盤には下落に転じた米国市場の動きからも完全にはアク抜けし切れていないことが分かります。来週の米FOMCにかけてはむしろもう一段安してセリング・クライマックスを迎えた方が、その後における株価の戻りも足取りが軽くなると言えるかもしれません。
日本株では伊藤忠(8001)だけが主力株の中で唯一新高値を更新する動きを見せており、バリュー株で高値圏をキープできているのは商社株と、金鉱株(住友金属鉱山:5713)のみと言えます。よって、あとは売られ過ぎからの自律反発が見込めそうな非製造系のグロース株くらいしか投資妙味が薄れてしまっている状況です。ボラティリティが高止まりしている現状で無理に損失を取り返そうとリスクテイクすることはかえって傷口を深くする恐れがあります。短期トレーダー以外の方は来週の米FOMCを通過するまでは様子見姿勢で、アク抜けを待つのが賢明と言えるでしょう。
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