イチから考えるお金のこと
-入門編④-
第4回のまねまねコラムはお金について考え始める際、入門編④として具体的にどんなことから考えていくのが良いのか、初めに知っておくべきことは何なのかについて述べていこうと思います。
前回は「お金の仕組みと経済」についてお金がどのように生み出されるのかを中心に書きましたが、今回は生まれたお金が市場に出回り、世の中にどういう影響を及ぼすのかについて借金と金利の関係を軸に理解を深めていきましょう。
『世の中のお金はすべて誰かの借金』ー良い借金と悪い借金
「世の中のお金はすべて誰かの借金」であると言うと、日本人はこの借金というものに対して少なからず(人によっては過剰に)拒否反応を示すのですが、第3回で解説したお金の仕組みを理解すれば借金が必ずしも悪ではないということはある程度知っていただけたかと思います。
お金の仕組みに関する基礎をふまえた上で、この借金にも良い借金と悪い借金があるということまで理解できたら世の中の経済のほとんどが理解できると言っても過言ではありません。
良い借金とは、お金もしくは時間を生み出す借金です。例えば企業が新しい機械を導入するための設備投資、国の公共投資、個人の消費でさえも良い借金になり得ます。
企業がより多くの人を幸せにできたり、国が道路や施設を新設して便利になったり、個人が自らの成長やモチベーションアップにつながる支出をすることは将来の生産性が向上し、経済が回り、信用が拡大して借金できるお金が増えていきます。こうした好循環を生み出すのが良い借金です。
一方で、借金には金利が発生しますので、借金をし過ぎるといつか返せなくなる時がやってきます。記憶に新しいところでは、社会全体で返済しきれないほどの借金を抱えてクラッシュしたのが2008年のリーマン・ショックがなじみ深いでしょう。
サブプライムローンという低所得層が身の丈に合わない借金を抱えて債務不履行が相次ぎ、金融機関の経営がすこぶる悪化して、終いには金融システム全体を揺るがして世界恐慌にまで発展しました。
これは悪い借金の典型的な例でした。このリーマン・ショックに関しても個人的に思うところは色々ありますが、本来であればこうした事態に陥らないように借金に付与される金利の調整をしているのが...
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