【12/7日本市場の確認ポイント】
日経平均 28455.60(+1.89%)[27,961~28,618]
TOPIX   1989.85(+2.17%)[1,952~1,995]
東証2部  7472.22(+1.44%)[7,399~7,476]
JASDAQ   3905.86(+1.42%)[3,865~3,906]
マザーズ  1039.90(+3.07%)[1,021~1,039]

値上がりセクターTOP5
1.空運(+4.17%)
2.海運(+3.97%)
3.金属製品(+3.44%)
4.ガラス・土石(+3.42%)
5.鉄鋼(+3.39%)

値下がりセクターTOP5
1.農林・水産(▲0.42%)
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし

 週明けの日本市場はネガティブニュースが続出のソフトバンクG<9984>が▲8.20%と大幅安となったほか第一三共<4568>が▲6.17%、中外製薬<4519>が▲4.03%と情報・通信、医薬品セクター中心にグロース株の値崩れが鮮明となり、この3社で日経平均を130円近く押し下げました。一方、3社の下げが無ければ日経平均はプラスに浮上していたことから、朝安後の切り返しも含めて底堅い動きをみせたと言えるでしょう。

 翌7日は米国株の反発をうけて日経平均も早々に28,000円台を回復、27,500円付近での足場固めも済んでいることから上値を試す動きが強まりました。オミクロン型コロナ変異株への懸念が和らいで反発を強めたのは空運セクター(+4.17%)で、そこに海運(+3.97%)と鉄鋼(+3.39%)をはじめとする景気敏感株の上昇が目立ちました。

 足元では米国市場においてもこれまでのハイテクグロース株中心のナスダック優位だった方程式が崩れ始めており、日本株では上記の海運や鉄鋼、鉱業といったほぼバリュー株の銘柄群で占められる業種の堅調さが目立ってきました。つまり、相対的にバリュー株優位の相場づきに変わってきたことが窺えます。これは米国の金融政策に引き締め観測が持ち上がってきたことと深く関係しており、今後の長期金利上昇を意識して高PERのバリュエーションを容認しがたくなってきたことを表しています。

 こうした場合、6日のマザーズ市場が一時▲4%を超える下げとなったことからもリスク性の高い中小型株は明らかに敬遠されているとみられ、値ごろ感から手を出すのは危険きわまりないでしょう。ただし今週に限って言えば、週末に12月メジャーSQを控えていますので、海外勢など大口はポジションをロールさせる都合でレンジを積極的には動かしにくいことから極端な売り仕掛けや明らかな梯子外しは無いものと思われます。

【米国株概況】
オミクロン株懸念後退で11月後半からのショック安を打ち消す上昇、米国財政・金融政策をめぐる本当の動きはこれから

NYダウ 35719.43(+1.40%)[35,423~35,819]
S&P500  4686.75(+2.07%)[4,631~4,694]
NASDAQ 15686.92(+3.03%)[15,507~15,720]
ダウ輸送株 16355.4(+0.17%)[16,316~16,598]
半導体SOX 3988.7(+4.97%)[3,892~4,002]
日経平均先物(CME) 28,815(+1.03%)[27,955~28,865]
ドル/円 112.85~113.55
米10年債利回り 1.436%
WTI原油 71.71
金先物 1784.30
銅先物 4.3415
恐怖指数(VIX)21.89
Fear&Greed指数 33
High Yield Bond  86.84

 7日の米国市場は金融、ハイテクを中心に反発してNYダウは492ドル高、11月後半の下落起点であった35,700ドル台まで回復しました。ナスダックもアップルやアマゾンといった主要大型株の反発に加えて半導体関連株が軒並み大幅高となり、総合指数は+3.03%、半導体SOX指数は+4.97%と突出した上昇を見せて4,000ポイント台へと史上最高値を再び更新しました。

 ここでもたいがいの市場解説ではオミクロン型コロナ変異株への懸念後退を理由に挙げられていますが、11月後半のシャープな急落を打ち消すものとしてはそれで十分でしょう。ただし、本質的なところで米国株上昇の背景にあるのは歴史的な大型財政出動と債務上限問題の先送りをポジティブに捉えているからです。これらに対する見方がひっくり返る時には市場は再び大きく動揺してしまうでしょう。

▼米債務上限引き上げ法案、下院で今週採決も=民主党幹部(2021/12/7)
https://jp.reuters.com/article/usa-congress-idJPKBN2IM030

 財政政策の観点から重要なのは、バイデン米大統領が直近の11月米雇用統計をうけて失業率が驚くほど低下したことを称賛していますが、雇用は予想を大きく下回っており、結果としてはまちまちであったわけです。
 ただし、問題なのはこの失業率低下の背景に求職者が大挙して職探しを辞めているという現状があり、雇用が絶好調なわけではないということです。これには手厚いコロナ給付金で今さら低賃金の労働に戻れない低所得層やNY市にみられるようにワクチン接種義務化への抵抗から人手不足に陥るほど労働者が自らあるいは不当に退職せざるを得ない事態に追い込まれるなど、米国の労働市場は大変な状況にあります。これがやがて近い将来のうちに米国の家計および個人消費に影響を及ぼしかねず、米国財政の維持はより難しくなっていくことを示唆しています。

 目先のところは11月天井を起点とした下落相場の中間反騰真っ最中ですので、ひとまず今週は米国財政への期待が下支えに働くとして問題は来週14日~15日の米FOMCで金融政策の舵取りが明確に変わるかどうかになります。さらに週末はクアドラプル・ウィッチング(日本でいうメジャーSQ)が控えており、今後の短期トレンド転換を探る重要な変化日としては15日、20日、28日を意識しておくとよいでしょう。

【日本株投資戦略】
バリュー株優勢の相場にグロース株のV字切り返しが加わり全面高、日経29,000円回復が目前に迫る急反発で強気転換に誘い込まれる投資家心理

 昨日は東証1部の騰落銘柄数が値上がり2110/値下がり58と極端なリスクオンとなり、騰落レシオ(6日)が79⇒146ポイントへと急上昇を表すように過熱感を伴った全面高商状でした。ただし足元の市場ボラティリティの高さから言えば、グロース株の売り一巡とバリュー株の奮起による反騰は思ったより大きくなることも不思議ではありません。特に以前のネックラインであった日経29,000円付近までの価格帯は、直近の下げ足も拙速で真空地帯になっています。問題は株価水準として29,000円の節目達成後、あるいは日柄としてメジャーSQ通過後が徐々に年末の節税売りと合わせて警戒感が増していきます。

 本日は米国市場での大幅高をうけて、特にハイテクの半導体関連株が上昇をけん引して上値を伸ばすことが期待されます。ただし、こういうショック安で、だいぶ深い下値を見せられた後の中間反騰相場にある中で地合いが極端に良好な様に演出するのは、買い後れた投資家を呼び込む誘い水である可能性が高いですので注意が必要でしょう。

 よって、本日は足元のリバウンドにおける天井を探りつつ、指数寄与度の高い値がさ株を中心に上がっていないか、グロースは半導体関連株が途中で失速せずに上値を試す動きを続けられるかどうか、バリューは海運・鉄鋼の戻りが続くか、リスク性の高い中小型株(特に新興市場のマザーズ)にも資金が回ってきているかどうかなどを重点的にチェックしていきましょう。
 また、オミクロン株への懸念後退で上昇が続くのであれば、切り返しの勢いが強い空運株や旅行・レジャー、不動産といったアフターコロナ関連が戻り足を強めるでしょう。これらが早々に腰折れしてくるようだと中間反騰も持続性が危うくなってきますので、日本株の9月天井以前から保有株は戻り売り、直近の急落で仕込んだ株は利益確定を行うチャンスと捉えておきましょう。次の仕込み場については中期的な投資戦略をふまえた【先読みの近未来】で具体的に解説していますのでご一読ください。

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